知恵蔵 「Androidウイルス」の解説
Androidウイルス
密かに侵入しデータの消去や外部のコンピューターを攻撃する「トロイの木馬」、個人情報などを第三者に送信する「スパイウエア」、外部からの遠隔操作を可能とする「ボット」など、Windows OSを標的にするウイルスと同様のものが流通している。
IPA(情報処理推進機構)には、2011年3月以降で、「DroidDream(ドロイドドリーム)」や「Lightdd(ライトディーディー)」、「Smspacem(エスエムエスパーセム)」などのトロイの木馬型ウイルスが報告されているが、他にも様々なAndroidウイルスがある。
例えば、「GPS SPY(ジーピーエス スパイ)」と言うスパイウエアは、Android OSのスマートフォンの多くに搭載されているGPS機能を悪用するウイルスで、15分間隔でGPSによる位置情報を第三者に送信する。また、「Geinimi(ゲイニミ)」と呼ばれるウイルスは高機能で、位置情報の送信だけでなく、悪意ある人物によって遠隔操作が可能なボットの機能を持つ。どちらもゲームや一般的なアプリケーションの概観をしているので、見た目ではウイルスと判断できない。
iPhoneのアプリケーションは、Apple社の審査をクリアしたものしか導入できず、また、入手先も「App Store」のみである。これに対し、Androidのアプリケーションは、開発基準や審査がなく、Google社のAndroidマーケット以外でも入手可能と自由度が高いため、ウイルスがはびこる危険度も高くなっている。更に、Android OSのシステム領域に入り込んだウイルスは、ユーザーには完全に駆除できないため、新たなアプリケーションをインストールする場合には十分な注意が必要になる。インストール時に「個人情報」や「料金が発生するサービス」などの、明らかに不自然なアクセス許可のメッセージが表示される場合は、インストールを中止した方が賢明である。
Android OS用のセキュリティソフトは、ノートンやマカフィと言った有名なメーカーのものから無償のものまでたくさんあるが、パソコンと比べるとまだまだ導入率は低いようである。
(横田一輝 ICTディレクター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報