CASE(読み)けーす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「CASE」の意味・わかりやすい解説

CASE
けーす

100年ぶりとされる自動車の大きな技術革新や新ビジネス創出のトレンドを表す概念。Connected(インターネットとの接続)、Autonomous(自動運転)、Shared&Services(シェアリング&サービス)、Electric(電動化)の頭文字をつなげた造語である。2016年、ダイムラー会長であったツェッチェDieter Zetsche(1953― )が提唱した。ネット接続(C)では走行・故障・混雑・天候などのデータを収集・分析して運行物流の効率を上げ、自動運転(A)では運転手不足の解消や過疎地などでの輸送サービス提供をめざす。シェアリング&サービス(S)では車の共有・貸し借りにより維持費や駐車場料金などの負担軽減につなげ、電動化(E)ではエンジンではなく電動モーターの利用で地球温暖化対策を進める。CASEは新ビジネスを生み出し、移動や社会のあり方を変革する可能性を秘めているが、次世代蓄電池やセンサーなど開発すべき技術群が膨大で、自動運転などに関する法整備も課題である。巨額の投資開発費がかかり、自動車産業中心企業業種国境を越えた合従連衡(がっしょうれんこう)が進むとみられている。

[矢野 武 2021年9月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例