LPG自動車(読み)えるぴーじーじどうしゃ(英語表記)LPG powered automobile

日本大百科全書(ニッポニカ) 「LPG自動車」の意味・わかりやすい解説

LPG自動車
えるぴーじーじどうしゃ
LPG powered automobile

液化石油ガス(liquefied petroleum gas)を燃料として走る自動車。液化石油ガスは、LPガスLPG)やプロパンガスともよばれ、家庭用ガスとして広く普及している。自動車用として供給されているオートガスブタンが8割にプロパンが2割の混合ガスで、オクタン価は高く、ハイオクタン・ガソリン程度である。また、通常の燃料タンクのかわりにガスボンベを搭載している。エンジンは基本的にガソリン用と同一で、シリンダー内の混合気に点火プラグで着火するオットーサイクル機関だが、LPGを減圧、気化する専用の装置を備えている。近年では電子制御式LPG液体噴射方式が採用されるようになり、燃焼効率が向上している。

 LPGとガソリンを比較すると、重量当りの発熱量はLPGが勝るが、体積当りのエネルギー密度が低いため、同一のガソリンエンジンと比較して出力の低下が避けられない。しかし、燃料代が安いことから、日本では主としてタクシーや小型トラックに用いられており、タクシーでは90%以上がLPG車である。

 液化石油ガスは石油のほか天然ガスからも生成されるため、省資源になるとして自動車への使用も増え、海外では一般のユーザーにも普及している。LPG車はCO2排出量が少なく、低騒音、低振動で経済性にも優れているが、日本ではLPGスタンドの整備が遅れ、一般用LPG車の普及は進んでいない。

[伊東和彦]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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