PR誌(読み)ぴーあーるし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「PR誌」の意味・わかりやすい解説

PR誌
ぴーあーるし

企業、商品などのPRパブリック・リレーションズ)を目的とする印刷刊行物。本来は従業員向けの社内報と、顧客や一般向けの社外報の両方を含むハウス・オーガンhouse organ(機関誌)を意味するが、日本では社外報の意味に用いることが多い。PR誌は、おもに企業、組合、団体が、系列販売店、株主組合員、ときには直接の消費者へ、新製品の紹介や業界事情の啓蒙(けいもう)のために発行するもので、官公庁などが広報上の目的から発行する定期的機関誌や、ニュース、案内、報告類がこれに含まれることもある。PR誌の発行目的は、直接セールス・プロモーションに結び付けようとするものと、企業や商品に対するグッドウィル(好意)を育てようとするものとに分かれる。刊行回数も、系列販売店向けのものは旬刊週刊で郵送されることが多く、株主関係では年1回か季刊発行が多い。内容的には、エッソ・スタンダード石油株式会社(現、ENEOS)の『energyエナジー)』(1964年創刊、1974年廃刊、後継誌が1988年まで続いた)や、TOTO株式会社の『TOTO通信』のように宣伝臭の感じられないようなものから、株式会社資生堂の『花椿(はなつばき)』(2016年からデジタルに移行)のように全国的な消費者組織を補完するようなものまで多様である。

 このように、当初のPR誌はほとんどナショナル・スポンサー(全国的規模の広告主)が発行するものに限られていたが、1970年代から関西を中心とするローカル・スポンサー(京都信用金庫、滋賀銀行など)による地域PR誌も発生してくる。1990年代には、これらPR誌はしだいに多様化し、印刷技術の向上に伴いグラフィック・デザインの華やかさだけでなく、著名な執筆者を動員する高級誌志向の傾向を増してきた。しかし、PR誌最大の問題点は流通コストとくに郵送コストの上昇にある。そこで、1990年代後半から『コミュニケーション』(2000年廃刊)を発行していたNTTのように、インターネット利用によるホームページへのアクセスを代替手段とするウェブマガジン方式をとるところがでてきている。

[島守光雄]

『池田喜作著『PR誌ハンドブック』(1981/改訂版・1984・視覚デザイン研究所)』『ピエ・ブックス編・刊『PR誌・フリーペーパーコレクション』(2001)』『山中正剛著『現代のPR誌』(日経新書)』

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図書館情報学用語辞典 第5版 「PR誌」の解説

PR誌

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