企業と従業員の意志疎通を促すコミュニケーションの一環として出されている雑誌・新聞のこと。PR活動の一つであり,社内ばかりでなく広く対外的な効果もねらったPR誌や広報誌よりも限定されるが,それらとの連携もみられる。社内報の思想の実践とその技術の先進国であるアメリカに最初の社内報が生まれたのは,1887年6月ナショナル金銭登録機会社(現在のNCR Corp.,オハイオ)においてであったとされる。その後次々と現れ,産業界ごと,また全国的な団体も生まれた。最初の団体NCIEA(産業編集者協会全国評議会)が誕生したのは1941年である。45年には5000種に達した。
日本では,アメリカより15年遅れて1903年6月鐘淵(かねがふち)紡績兵庫工場の《兵庫の汽笛》が初期のものとされる。しかしその後の発展は経営のあり方の違いから低調で,本格的に各企業に採り入れられたのは第2次世界大戦後である。戦後は経済の成長が続く反面,労働運動もたかまり社内報は重要な労使協調のための道具になっていった。ただし労働者は,もっぱら労使協調路線をとる社内報と,運動路線をとる労働組合機関紙との双方に接触するわけであり,このことは会社と組合の双方への二重帰属意識をもつ日本的な企業内労働運動とみごとに合致している。社内報の発展に協力した日経連(日本経営者団体連合会)の労働問題重視の性格もあって,社内報は企業文化,企業社会の問題より労使関係により多く気をつかってきているといえよう。また社内報は,その編集技術の向上や読者意識調査の実施,他の企業内コミュニケーションとの補完的活用などもくふうされ,内容的にも安定したものとなってきた。最近はビデオなどの利用も補助的に行われている。
執筆者:田村 紀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
企業が人間関係管理の一環として発行する従業員向けの定期的意思疎通文書の総称。従業員に企業の方針や活動内容を周知させ、当面する諸問題について情報を提供することにより、企業との一体感を高め、勤労意欲を向上させることが本来の目的である。このことは、上から下への意思疎通を意味するが、それだけでは一体感の形成に十分ではないので、各種の提案や意見のような下からの意思疎通、職場・地域の情報のような横の意思疎通にも十分な配慮がなされる。このため、社内報の多くは、企業の動向、人事、新製品、レクリエーション、地域社会、従業員の家庭状況などを主内容としている。ただし、職務遂行に直接関連する情報は、社内報では扱わない。社内報の形態には、新聞と雑誌の両者があり、刊行の期間には、週刊、旬刊、月刊などがある。社内報編集のために専門家を置くことも珍しくないが、従業員の参加が重要である。
[森本三男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報
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