知恵蔵 「Su-57」の解説
Su-57
ロシアの戦闘機は、1980年代に配備されたミグ29やスホイ27およびその改良型などがこれまでの主力を担ってきた。これらは、後に第4世代のジェット戦闘機と位置づけられる機動性を重視した戦闘機で、高性能なジェットエンジンによる亜音速での巡航や多用途な電子機器の搭載を特徴とする。導入当時は先進的なものだったが、米国は同時期に投入した第4世代戦闘機F15などから、2000年代にはさらに進んだ第5世代戦闘機F-22やF-35へと配備の転換を進めた。第5世代のジェット戦闘機の要件とされるのは、ステルス性を有し超音速巡航が可能な新たな戦闘機である。冷戦の終結やソ連邦の崩壊により装備などの立ち遅れが目立つロシア軍は、第4世代戦闘機の改良型で対抗したが、本格的な第5世代戦闘機の開発が急がれた。これに応えてSu-57の開発が進められものの、様々な技術的問題から幾度も延期を重ね、10年になってようやく試作機(17年までは設計名称T-50を呼称)の初飛行に成功した。初飛行に際してはプーチン大統領が列席、自らチェックを行ったという。共同開発国にはインドが名を連ね、インド空軍もSu-57の導入を予定している。Su-57の巡航速度は時速約800マイル(約1300キロメートル)、最高速度は時速約1616マイル(約2600キロメートル)でマッハ2を超える。最高速度や上昇高度ではF-22を上回るが、ステルス性能や長距離攻撃能力ではやや及ばないという声もある。第5世代戦闘機の要件に加え、高い敏捷性、機動性を有し、F-22では断念された赤外線捜索追尾システムを搭載している。今度、さらに開発を進め、レーザー兵器や情報ネットワークが利用可能なクラウド管制、無人化を含む人工知能(AI)搭載などにより、Su-57を第6世代戦闘機へと転換させるとの展望を持つ。
(金谷俊秀 ライター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報