音速を超える速度のこと。一様な流れの中に物体を固定した場合を考えると、ベルヌーイの定理が示すように、流れの速度変化に伴って圧力は変化する。圧力変化dpに対し、流体の密度はdρだけ変化し、圧力変化は音速
の速さで流体中へ伝播(でんぱ)する。15℃の乾いた空気の音速は、秒速340メートルである。流体の速度をvとすると、圧力変化は上流側へc-vの、下流側へc+vの速さで伝播する。流体の速度と音速の比であるマッハ数(M=v/c)が1を超えるときの流れを超音速の流れといい、上流側へ圧力変化は伝わらない。このとき、音速以下(亜音速)の流れの場合と異なって衝撃波が発生する。超音速の上流側の流れは、衝撃波を通過して密度・速度・温度は不連続に変化し、亜音速の流れに変わる。ジェット旅客機はマッハ数が0.7~0.8程度の亜音速であるが、コンコルドやファントムはマッハ数1以上の超音速で飛行する。このとき、機体の周りには衝撃波が発生し、機体に大きな圧力抵抗を及ぼす。
実験室内で超音速の流れをつくるためには、ラバル管が用いられる。これは、細く絞った管に亜音速の気体を流し込んだとき、気流は断面の小さくなる部分で加速され、超音速になるようにくふうされている。ふたたび管が太くなる部分で、密度の減少は大きく、したがって、圧力が減少し続けるため、気体はますます加速されることになる。
[池内 了]
「マッハ数」のページをご覧ください。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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