Touch&Pay(読み)たっちあんどぺい

知恵蔵 「Touch&Pay」の解説

Touch&Pay

生体指紋認証のみで、現金での支払い、パスポートやチケットの提示等を不要にするサービス。経済産業省によるIoT(Internet of Things モノのインターネット)を活用した新ビジネス創出推進事業の一環で、主に訪日外国人旅行者向けの「IoT活用おもてなし実証事業」で展開しているサービスの一つ。
わが国では、2020年に東京オリンピックの開催が予定されているため、政府は20年に約4000万人の訪日外国人旅行者数を目標に設定している。しかし、外国人旅行者は、慣れない異国での、外貨による支払いや、観光地でのチケット購入、宿泊時のパスポート提示など、自国と同じように利用できないための様々なストレスを抱える可能性が高い。そこで、生体指紋認証のみで、様々な煩わしい手続きを不要とするTouch&Payが登場した。
利用者は、専用の指紋認証端末に指をかざして指紋を登録する。画像解析のAI技術を備える端末は、他人と間違える確率が1兆分の1という高精度を誇る。さらに、指紋そのものを画像として保管しないため、万が一データの盗難にあっても、指紋画像を復元することは不可能とされる。
訪日外国人旅行者は、空港などの、最初に訪れるとされる場所に用意された専用端末に2本の指を乗せ、指紋登録とともに、連絡先やパスポート、クレジットカード等の情報を登録するだけで、Touch&Payシステムに連携している各種サービスが利用できる。登録後は、宿泊施設でのチェックイン、飲食店での支払い、免税店での諸手続き、レンタカーの予約やテーマパークへの入館が、指紋認証だけで可能となり、手ぶらで観光が楽しめるようになる。
Touch&Payは、16年より神奈川県の湯河原温泉箱根等の観光・宿泊施設で実証実験を行っていたが、17年10月からは、導入対象施設が全国各地に拡大された。20年には、訪日外国人旅行者が快適な買い物や観光を楽しめるようにTouch&Payが社会実装され、それに伴う国内消費の拡大と生産性の向上が期待される。

(横田一輝 ICTディレクター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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