外国人旅行者が消費税免除で買い物ができる店舗で、英語表記は「TAX FREE SHOP」。登録が必要で、管轄の税務署に申請書を提出し審査、許可を受ける。商品が日本国内で消費されたり、他人に譲渡されたりするのを防ぐため、販売の際は開封すると痕跡が残るシールで封印する。店側は「購入記録票」を作り、パスポートに貼る。購入者は誓約書にサインをして店に提出し、出国の際に税関に購入記録票を提出すれば国外に持ち出せる。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
外国人旅行者など非居住者に対し、商品購入時にかかる税金を免除する小売店。日本には、消費税のみを免除する「消費税免税店」(tax-free shop)と、消費税に加え関税、酒税、たばこ税も免除する「空港型免税店」(保税免税店、duty-free shop)の2種類がある。日本の免税店は、外国人旅行者の増加や免税制度の規制緩和で、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行期を除き、ほぼ一貫して増えている。一方で、2021年(令和3)以降の円安傾向もあって、海外での転売目的の違法利用が横行する問題が生じている。
消費税免税店とは、消費税法第8条に定める「輸出物品販売場」である。管轄は国税庁。利用できるのは、出国する外国人と海外に2年以上居住している日本人。利用者は購入時にパスポートや航空券などを示し、免税店は購入記録情報を国税システムに電子送信する必要がある。対象物品は家電製品、時計・宝飾品、鞄(かばん)・靴・衣類などの一般物品だけでなく、2014年(平成16)から食品、アルコール類、化粧・医薬品などの消耗品にも拡大された。免税対象は、同一店舗で1日の購入合計額が一般物品で5000円以上、消耗品で5000円以上50万円以下の商品である。転売・事業目的や留学生の購入は認められない。免税店出店には、店舗ごとに所管税務署長の許可が必要で、外国人旅行者の多い繁華街にあり、外国人に対応できる店員や売場を備えているなどの条件を満たす必要がある。免税手続を1か所でできる商店街の一括カウンター、季節的な臨時販売場、自動販売機による販売も可能。なお、日本人でも、贈答または海外で2年以上利用する商品(単価1万円超)については、免税店を利用することができる。日本の消費税免税店は百貨店、家電量販店、ドラッグストア、土産物(みやげもの)店への設置が進み、2012年4月に4173店だった店舗数は2022年9月末に約5万2000店となっている。
空港型免税店は、関税法42条などに定める保税蔵置場(保税免税店、保税売店)である。所管は財務省関税局。税がかかる前の輸入手続の済んでいない物品を出国者に販売する店であり、免税対象は酒、たばこ、化粧品、ブランド品など機内・船内に持ち込めるものに限られる。空港や港の出国手続が済んだ後のエリアにあるほか、特定免税店制度の適用を受けた店舗が沖縄や東京などにある。国際便の機内・船内販売もこれに該当する。商品は空港に配送され、出国手続後、空港や港などの引き渡しカウンターなどで受け取る。出店するには、関税法上、保税蔵置場としての許可(関税法42条)や保税運送の承認(同63条)を所管の税関長から得る必要がある。
日本の免税制度は、1952年(昭和27)の創設以来、免税店が免税適用条件を満たしているかどうかをチェックし、商品購入時に消費税等を免除する免税店主体方式をとっている。一方、諸外国では、購入時に払った税を、旅行者自身が出国時に申告して還付をうけるリファンド方式(旅行者主体方式)が一般的である。不適切に免税の適用を受けた購入者に対して、後から消費税を徴収するのはむずかしいという日本の免税店の弱点を悪用し、転売目的の不正利用が横行。2022年末に転売目的を見逃したとしてアップル日本法人が140億円の追徴課税を受けるなど、免税店の不正利用が社会問題化した。全国免税店協会は免税店に対し、(1)同一商品を一度に20個以上購入、(2)同一店舗で1日に3回以上購入、(3)同一人物が3日以上連続して同一店舗で購入、などは転売目的の疑いが濃く、免税を適用しないよう働きかけている。
[矢野 武 2023年10月18日]
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