日本大百科全書(ニッポニカ) 「VERA」の意味・わかりやすい解説
VERA
べら
日本におけるVLBI(Very Long Baseline Interferometry)技術を使った銀河系の構造と運動を研究する計画。英語名のVLBI Exploration of Radio Astrometryの略称。1999年(平成11)に計画が開始され、2003年(平成15)から観測が始まった。VLBIとは超長基線干渉計のことで、複数の電波望遠鏡を使う干渉計において、その電波望遠鏡間の距離を非常に大きくとって、空間分解能を飛躍的に高める技術をVLBI法という。VERAでは、この長い基線を得るために口径20メートルの電波望遠鏡を水沢局(岩手県奥州市水沢区)、入来(いりき)局(鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市入来町)、小笠原局(東京都小笠原村父島)、石垣島局(沖縄県石垣市)の4か所に配置して直径2300キロメートルの口径に相当する電波干渉計を構成している。地球の公転による年周視差と2ビーム電波望遠鏡による相対VLBI法によって、VERAの観測精度を10マイクロ秒角(3億6000万分の1度)まで高めている。これにより2008年10月にはケフェウス座領域の分子雲の距離測定、2010年11月には、いて座腕までの距離を正確に決定している。また、北海道大学苫小牧(とまこまい)局(北海道苫小牧市)や宇宙航空研究開発機構の臼田(うすだ)局(長野県佐久市)などの多くの電波望遠鏡と光ファイバーで結んで干渉計を構成して、より多くのVLBIとして運用中で、韓国、中国を含めて東アジアネットワークも構築されている。
[編集部 2023年4月20日]