日本大百科全書(ニッポニカ) 「おみくじ」の意味・わかりやすい解説
おみくじ
おみくじ / 御神籤
「みくじ」ともいい、御鬮、御孔子とも書く。くじを引いて神意を問う占いの一種。物事の決着を神意に託し、あるいは事の吉凶善悪を神の判断にゆだねる呪術(じゅじゅつ)的な方法である。『和名抄(わみょうしょう)』に「籤」を「太介乃久之(たけのくし)」とよんでおり、中国でも古く竹串の意味でもあって、これを数十本収めた筒から1本を抽(ぬ)いて事の吉凶を占った。『神道名目類聚抄(るいじゅうしょう)』によれば、それぞれ一、二、三の数字を記した竹串を竹筒に入れ、神前で吉凶にあてる数字を唱えて祈ったあと抽いた串の数字で神意を知る方法、また紙に吉凶または願い事を書いて丸めた玉籤を祈願のあと祓(はらい)具の紙垂(しで)で引き上げる方法があり、これを「御祓鬮(みはらいくじ)」という。古来、命名や家督の人選に神意を占うのに使われ、また祭りにあたって神宿や神事役を決める手段でもある。神職や行者の手で神前で行うのが原則だが、近年は神社や寺院で参詣(さんけい)者が備え付けのおみくじを抽いて個人的な吉凶を占い、境内の樹木に結び付けて幸運を祈る風が盛んである。
[薗田 稔]