商品取引(読み)しょうひんとりひき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「商品取引」の意味・わかりやすい解説

商品取引
しょうひんとりひき

広義には商品の売買全般をいうが、狭義には商品取引所における取引のみをいう。広義の商品取引では、売り手と買い手は売買対象商品の種類、品質、数量、価格、引渡しの場所と時期、代金支払い方法などを盛り込んだ売買契約を結ぶ。商品の品質を決める方法としては、現品見本、銘柄、標準品、仕様書などがある。前二者は比較的少量の取引に、後三者は大量取引に適している。商品の数量は、個数または度量衡で決定されるが、度量衡の適用は商品によって異なる。繊維製品や皮革は長さや面積を、木材や石油は容積を、穀物鉱石は重量を用いる。これらは流通段階により単位の大小を生じる。取引価格は、受渡しまでの運賃、保険料、保管料などの負担区分によって左右される。代表例として、現場渡し値段、貨車渡し値段、本船渡し値段(FOB)、運賃保険料込み値段(CIF)、持込み値段などがある。受渡し時期には、即時渡し、商慣習による近日渡し、何月何日のような確定日渡しなどがある。代金支払い方法は、現金払い、繰延(くりのべ)払い(後払い)、前払いに大別され、繰延払いにはさらに掛払い、手形払い、賦払い月賦払いなど)がある。これらに特約事項を加えて売買契約書が作成される。

 商品取引所の取引は商取(しょうとり)とも略称され、耐久性、保存性、大量生産性があって価格変動を生じる商品が先物(さきもの)取引(将来の受渡しを条件にする取引)される。

[森本三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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