普及版 字通 「奈(漢字)」の読み・字形・画数・意味
9画
(異体字)奈
人名用漢字 8画
[字訓] からなし・なんぞ
[説文解字]
[字形] 形声
声符は示(じ)。ただ声が合わず、声の由るところが知られない。卜文に・(さい)の字があるが、ともに別の字である。〔説文〕六上に「果なり」とあって、からなしをいう。〔書、召誥〕に「何(いかん)ぞ」とあり、「如何」と同じ語。奈は俗字である。
[訓義]
1. からなし。
2. いかん、いかんぞ、いかんせん、なんぞ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 カラナシ 〔立〕奈 ムラガル・イカン・チカシ・ナントモス・スケ/ ヲフ
[声系]
〔説文〕三下に隷を声の字とするが、その篆文の字形は祟(すい)に従い、その祟(たたり)をなす呪獣の尾をもつ形である。「附するなり」と訓し、その祟を他に転移することをいう。その転移されたものを神の徒隷として献じた。ただと祟とは声義においてわたるところがなく、隷を声とする〔説文〕の説は、後起の字形によって誤り説くものである。ただ奈が大に従うのは意味のあることと思われ、奈natは大datとともに舌頭音、いわゆる旁紐の字である。
[語系]
nat、如njiaは声近く、〔礼記、曲礼下〕「何(いかん)ぞ稷(しやしよく)を去るや」は如何と同義。(那)naも同系の語で、「なんぞ」とよむ。〔経伝釈詞〕に「は何の合聲なり」という。
[熟語]
何▶・河▶
[下接語]
何・嘉・甘・杏・紫・朱・赤・丹・白・碧・蜜・無
奈
常用漢字 8画
(異体字)
9画
[字訓] いかん・なんぞ
[説文解字]
[字形] 形声
正字は(だい)。〔説文〕六上に「は果なり」とあって果木の名とする。奈はその俗字とされるが、いまの字形には疑問とすべきところがある。声義の上からいえば、(那)と同じく(ぜん)系統の字かと思われるが、確かめがたい。〔広雅、釈言〕に「はなり」とあり、王念孫の〔証〕には何を単言したものであるという。「那何」はまた「奈何」に作り、〔礼記、曲礼下〕に「奈何(いかん)ぞ稷(しやしよく)を去るや」「奈何ぞ宗を去るや」のようにいう。果木のとは別義の字と思われる。
[訓義]
1. いかん、いかんせん。
2. なんぞ、なんすれぞ。
3. 木の名。
4. 耐(たい)と通じ、忍び耐える。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕奈 カラナシ 〔立〕奈 ムラガル・イカン・チカシ・ヲコタル・ナン・トモス・スケ
[語系]
奈natは如njiaと声近く、「奈何」はまた「如何」に作る。na、(若)njiakも声近く、「那何」「若何」のようにもいう。
[熟語]
奈何▶・奈久▶・奈心▶・奈煩▶・奈河▶・奈落▶
[下接語]
何奈・不奈・無奈
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報