小山(市)(読み)おやま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小山(市)」の意味・わかりやすい解説

小山(市)
おやま

栃木県南部にある工業都市。1954年(昭和29)小山町と大谷(おおや)村が合併して市制施行。1963年間々田(ままだ)町と美田(みた)村、1965年桑絹(くわきぬ)町を編入市域は鬼怒(きぬ)川、田川沿岸の東部低地、中央台地、思(おもい)川、巴波(うずま)川沿岸の西部低地の三つに地形的に分けられる。国道4号と新4号バイパス、50号が通じ、JR東北新幹線のほか、東北本線(宇都宮線)と両毛線、水戸線がそれぞれ交差する交通の要地でもある。1155年(久寿2)に藤原秀郷(ひでさと)の子孫小山政光(まさみつ)(生没年不詳)が思川東岸に築いた小山城(祇園(ぎおん)城)を中心に開け、江戸時代には小山宿、間々田宿は日光街道の宿場町、乙女(おとめ)は思川水運の河岸(かし)として栄えた。工業は、第二次世界大戦前から立地していた製粉製糸製菓のほか、戦後の高度成長時代に造成された工業団地に、自動車部品、通信機、金属、電機、建設機械およびアルミニウム精錬工場などが進出して中堅工業都市として発展し、県内では屈指の工業都市となった。東京から約70キロメートルの距離で東京通勤圏に組み入れられ、1982年の東北新幹線の開通とともに、大宮の次の停車駅としてこの傾向は急速に進んでいる。また、茨城県結城(ゆうき)市と境を接し、結城紬(つむぎ)の織りは農家の副業として旧桑絹町で50%強に及んでいた。後継者育成のために紬織物技術支援センターが設立されている。また、市内には白鴎(はくおう)大学、関東職業能力開発大学校、小山工業高等専門学校がある。国指定史跡の摩利支天塚古墳(まりしてんづかこふん)・琵琶塚古墳(びわづかこふん)、同じく国指定史跡の小山氏城跡(鷲(わし)城跡祇園城跡・中久喜(なかくき)城跡)のほか、間々田の蛇祭(ままだのじゃまつり)(5月5日)は奇祭として知られる。面積171.75平方キロメートル、人口16万6666(2020)。

[村上雅康]

『小山市教育研究所編『小山の自然と社会』(1965・小山市)』『『小山市史』全10巻(1978~1987・小山市)』


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