握飯(読み)にぎりめし

精選版 日本国語大辞典 「握飯」の意味・読み・例文・類語

にぎり‐めし【握飯】

〘名〙 握り固めた飯。形は丸形や三角形などで、中に梅干、鮭などを入れることが多い。むすび。にぎり。にぎりいい。
浮世草子・新色五巻書(1698)二「風呂敷よりにぎり食(メシ)の昼食喰(ちうじきくい)しもふとはじまり」

にぎり‐いい ‥いひ【握飯】

常陸風土記(717‐724頃)筑波風俗(くにぶり)の説(ことば)に、握飯(にぎりいひ)

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改訂新版 世界大百科事典 「握飯」の意味・わかりやすい解説

握飯 (にぎりめし)

飯をにぎり固めたもの。おにぎりおむすびなどともいう。ふつう塩をつけて三角形,丸形,俵形などににぎり,梅干し鰹節,塩ザケなどを中に入れたり,ノリ,トロロコンブ,タカナ漬,干しワカメなどで包んだりする。手づかみで食べることができ,持ち運びに便利なため携行食とされることが多い。地方によっては晴の日に作り,神仏に供えるところもある。《貞丈雑記》に〈屯食と云はにぎり飯の事也〉とあるように,古く平安時代以降は屯食(とんじき)と呼ばれ,儀式や宴会のさい諸司や従者に給された。握飯を焼いたものは焼きむすびなどと称されるが,《大和本草》(1709)はこれを焼飯(やきいい)と呼び,下痢などの病人によいとしている。
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世界大百科事典(旧版)内の握飯の言及

【弁当】より

…屋外で食事をとる必要から携行する食物のこと。農・山・漁村や都市の諸技能者の間では,屋外の労働を目的としたとき,家に帰って食事をとれない場合に携行したが,その形態は地域ごとの食生活に応じて一様ではなかった。米飯,粟飯,稗飯,芋などが中心で,それによって容器も異なり,畑作地帯では稗や粟の飯を入れる網袋状の苞(つと)が多い。そのほか藺(い)やわらなどで編んだ苞のほか,柳や竹の皮で編んだ行李(こうり),杉や桜をへいで曲げたワッパ,メンパの類があった。…

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