本来「超越」に由来する語で、中世のスコラ哲学では、「一」とか「真」とか「善」は、個々の述語やカテゴリーを超えた超越論的概念transzendentaliaとされ、ドゥンス・スコトゥスはそのなかでも「存在」がもっとも普遍的で根源的な超越論的概念であるとした。
ところで、「超越論的」という語にそれまでとまったく異なった特殊な意義を与えたのがカントであって、カントは、経験的事物の認識ではなくて、そうした事物の認識を可能にする条件についての認識を超越論的とよび、経験の対象とはならない理念についての思弁的な超越的(もしくは超絶的transzendent)認識から区別した。つまり「超越論的」とは、経験を越えて、経験に先だって経験の成立条件を問う際に成立する認識という意味であり、その意味をくんで「先験的」と訳されることもある。
[宇都宮芳明]
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