通音（読み）ツウオン

デジタル大辞泉

つう‐おん【通音】

１ 手紙のやりとりをすること。つういん。
２ 江戸時代の学説で、五十音図のうち、同じ行の音が相通じることをいう。「さねかづら」を「さなかづら」、「うつせみ」を「うつそみ」というなど。なお、通韻を含めていう場合もある。→通韻

つう‐いん【通音】

⇒つうおん（通音）1

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

つう‐おん【通音】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 音信を通ずること。つういん。〔雲笈七籤〕
3. ② 平安時代の韻学で、ナとダ、マとバのように類似した音で、清と濁とが相通じて用いられる関係にある音のこと。
   1. [初出の実例]「通音者濁、濁。〈略〉通_二声_一、通_二声_一、通_二声_一、通_二声_一。互相通随_レ便呼_レ之也」(出典：悉曇要集記奥文（１１Ｃ後‐１２Ｃ前）)
4. ③ ＝つういん（通韻）③
   1. [初出の実例]「アイウエヲ通音」(出典：悉曇秘釈字記（1090）)
5. ④ ＝つういん（通韻）④
   1. [初出の実例]「垣つ幡と万葉に見ゆるは、波と多と通音にて、ハタ薄・花すすきの類ひの証訓なり」(出典：随筆・胆大小心録（1808）一四七)
6. ⑤ ＝つういん（通音）②
   1. [初出の実例]「勇士をさして武者(むしゃ)といふ。其武者の言語応待を、武者言(ことば)といふ。むと もと通音(ツウオン)、且 しやの反(かへし) さ也。武者言(むしゃことば)を もさ言と呼来る」(出典：滑稽本・大千世界楽屋探（1817）上)

通音の補助注記

ふりがなのない例は「つういん」と読んでいた可能性もある。

つう‐いん【通音】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ＝つうおん（通音）①〔文明本節用集（室町中）〕
3. ② 五十音図の同じ行の音が通じて用いられること。
   1. [初出の実例]「産子(おほこ)はうふこなりアイウエヲハヒフヘホの通音(ツウイン)ゆへに世挙ておほこといふ」(出典：談義本・迷処邪正案内（1756）一)
4. ③ 意味は異なるが音は同じであること。
   1. [初出の実例]「まいらする鯉通音よさとれ君」(出典：俳諧・へらず口（不角撰）（1694）)
5. ④ ⇒つうおん（通音）

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【通音】つういん

音信。

字通「通」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」