デジタル大辞泉 「通韻」の意味・読み・例文・類語 つう‐いん〔‐ヰン〕【通韻】 1 江戸時代の学説で、五十音図のうち、同じ段の音が相通じることをいう。「けむり」を「けぶり」、「かなしむ」を「かなしぶ」、「きみ(黍)」を「きび」というなど。→通音つうおん2 漢詩で、近接する音調をもつ異種の韻字を通用して韻を踏むこと。特に、古詩の場合に多い。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「通韻」の意味・読み・例文・類語 つう‐いん‥ヰン【通韻】 〘 名詞 〙① 漢詩などで、音韻の似ている異種の韻を互いに通じて用いること。「東」「冬」「江」が互いに相通じる類。[初出の実例]「古詩多くは通韻、近体必ず一韻に依る」(出典:作詩志彀(1783))② 悉曇(しったん)学で、同じ母音を持つ文字間の関係。[初出の実例]「右迦等三十三字承二上阿等一。是通韻也」(出典:悉曇蔵(880)二)③ 平安時代以降の韻学で、五十音図の同じ段の文字に共通する音。大体現在の母音に当たり、アイウエオを指したが、ヤ行・ワ行の音は別と考えていた。通音。[初出の実例]「初のアイウエオの五字者は、是諸字の通韻也」(出典:反音作法(1093))④ 江戸時代以前の国語学の学説で、五十音図中の同じ段の文字が相通じて変化することを説明する語。「けむり」を「けぶり」、「あたり」を「わたり」というようなことをさす。通音。[初出の実例]「えびすはへびすの間違にて、あいうえを、はひふへほの通韵(ツウイン)より誤り来れり」(出典:滑稽本・風来六部集(1780)放屁論後編) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例