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つう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


つう

江戸時代中期から始った日本特有の美意識の一つ。江戸時代前期に上方で形成された遊興の意識「 (すい) 」と類似するもので,特に江戸庶民の間で形成された。「通」である人をも「通」というが,また「通人」「大通」などとも称した。本来,人情機微に通じる意であるが,ことに遊里の遊びに用いられ,遊び方の万般に通じていることをいう。外面的には服装が洗練され,流行に敏感であり,書画骨董俳諧茶の湯,古典などのあらゆる教養に通じることを要求された。一般的に「大通」が用いられるようになったのは,「通」を描く洒落本の形成と同時期,明和の末 (1770) 頃からで,安永6 (77) 年頃から大いに流行した。この言葉から,ある事柄をよく知っている人を「何々通」というようになった。

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デジタル大辞泉の解説

つ【通】[漢字項目]

つう

つう【通】

[名・形動]
ある領域の趣味・道楽について精通していること。特に花柳界の内情に詳しいこと。また、その人や、そのさま。「芝居のだ」「相撲
人情に通じ、人柄がさばけていること。特に、男女間の機微に深い思いやりのあること。また、その人や、そのさま。「な計らい」「をきかす」
通力(つうりき)。神通力(じんずうりき)。
「久米の仙人の、物あらふ女の脛(はぎ)の白きを見て、―を失ひけんは」〈徒然・八〉
[接尾]助数詞。手紙・証文・届け書などを数えるのに用いる。「二手紙

つう【通】[漢字項目]

[音]ツウ(慣) (呉) [訓]とおる とおす かよう
学習漢字]2年
〈ツウ〉
つかえずにとおり抜ける。とおる。「通過通行通風通路開通貫通交通疎通直通不通便通融通(ゆうずう)
ある場所に行き来する。かよう。「通学通勤
全体に行き渡る。一般に広く行われる。「通常通説通俗通念通有通用共通弘通(ぐずう)普通
ある範囲の全部に及ぶ。「通算通史通読通年
言葉や情報を相手に伝える。知らせる。「通告通信通知通報内通文通
物事を広く知っている。物知り。「通暁通人角通食通精通消息通
男女が情を通わせる。「姦通(かんつう)私通密通
物事を自在に操る働き。「通力(つうりき)神通力(じんずうりき)
〈ツ〉全部に及ぶ。「通夜
[名のり]とお・なお・ひらく・みち・みつ・ゆき
[難読]通草(あけび)木通(あけび)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

つう【通】

江戸中期から後期にかけて定着した美的理念をいう語。世態に通達した知識を持ち,物事を処するに滞りがなく,人情を解してさばけた心およびそうした心の持ち主をさしていう。普通はその知的要素に重点がおかれるが,多くは遊里における遊興理念として用いられ,精神的要素に重点がおかれている。文芸の世界では,特に洒落本の中で〈通〉とは何かという〈通〉論議がしばしば行われた。そのため一時は洒落本は〈通〉の教科書であるという理解も生じていた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

つう【通】

[1] ( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
ある事柄に精通している・こと(さま)。また、そのような人。他の語の下に付いて用いられることも多い。 「歌舞伎の-だ」 「消息-」 「事情-」
人情の機微に通じていること。さばけて思いやりがあること。特に遊里などの事情に詳しいこと。また、そのさま。 ↔ 野暮やぼ 「 -なはからい」
神通力。 「久米の仙人の物あらふ女の脛の白きを見て、-を失ひけんは/徒然 8
( 接尾 )
助数詞。手紙・書類などを数えるのに用いる。 「戸籍抄本二-」 「年賀状百-」

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

世界大百科事典内のの言及

【いき】より

…“(すい)”や“”と同じく,江戸時代における一種の美的生活理念。ただし“粋”“通”が地域的・時代的限定を伴うのに対して,“いき”は江戸時代を通じて用いられ,現代にも通用している。…

【粋】より

…仮名草子では〈水〉の字を多く当てる。従来,〈(つう)〉や〈いき〉とは似て非なる別個の美意識として説かれることが多かったが,時代的に区分された意識としては,〈粋〉→〈通〉→〈いき〉のように,まったく同一線上に並ぶ意識として考えることもできる。また三者がほとんど区別されることなく重ねて用いられた例もあるところから,これらは互いに通い合う性質・内容を色濃くもつと考えるべきであろう。…

【遊郭(遊廓)】より

…例えば,伊勢参詣人を対象に古い歴史をもつ伊勢の古市(ふるいち)は茶屋町として,東海道の品川宿は形式上は飯盛旅籠(めしもりはたご)屋(飯盛女)として営業を認められていたものである。 各地によって多様な構図をもつ遊郭の基本的な設計は,上記のように周囲を溝や塀で囲み,大門(おおもん)(出入口)のみによる通行とした(裏門はあっても非常用である)。市中から大門に至る道には,遊郭行きをためらう思案橋(しあんばし),遊郭に近づいて身づくろいする衣紋坂(えもんざか)などが配置され(橋や坂は地形によって変わる),大門のそばには柳の木が植えてあることが多い。…

【遊子方言】より

…作者は大坂下りの書肆丹波屋利兵衛といわれる。通人とうぬぼれている半可通の男が,うぶな商家のむすこをつれて吉原遊郭に遊び,途中の船宿や船中,茶屋などでさかんに通人ぶりを示そうとするが,しだいに化けの皮をあらわし,遊女屋でも女郎に冷遇される。一方むすこは大いにもてるという筋。…

※「通」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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