還流冷却器(読み)カンリュウレイキャクキ

化学辞典 第2版 「還流冷却器」の解説

還流冷却器
カンリュウレイキャクキ
reflux condenser

加熱によって生じた蒸気冷却凝縮させ,凝縮液をふたたびもと蒸留フラスコへ戻すような構造をもった冷却器総称.冷却器はもともと蒸留用にも還流用にも使用できるが,とくに還流に適した冷却器には多くの創案者によるものがある.図の(a)はジムロート(Dimroth)冷却器で,もっとも広く用いられている.冷却水はらせん状の管を流れ,蒸気は冷却水との接触面が大きくなるので冷却効率がよい.(b)は有機化学反応の還流にもっとも一般的に用いられる玉入冷却器で,考案者の名からアリン(Allihn)冷却器ともいう.(c)はアリン冷却器の改良型で,凝縮した液体が玉にたまって上へ吹き出すことがないようになっている.このほかに金属製冷却器,冷却能率を高くした二重冷却,冷却面積増加の工夫,減圧用還流冷却器など多くの考案がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「還流冷却器」の意味・わかりやすい解説

還流冷却器
かんりゅうれいきゃくき
reflux condenser

下にある容器から蒸発してきた蒸気を冷却液化して下に戻すガラス器具通常は水を冷却媒に用い、冷却効率を高くするために、球管、蛇管、ジムロートなどの冷却器が利用される。沸点の低い蒸気に対しては、リービヒ冷却器を用いることもあり、あるいは単に細長いガラス管による空気冷却を利用することもある。

[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「還流冷却器」の意味・わかりやすい解説

還流冷却器【かんりゅうれいきゃくき】

化学実験などで溶媒蒸気を冷却・凝縮させて再び下部の容器に戻す器具。ふつうガラス製で,リービヒ冷却器,アリーン冷却器,蛇管冷却器などがよく用いられる。加熱された蒸気は上端から流下するうちに水で冷却されて凝縮し,下のフラスコへ還流する。
→関連項目リービヒ冷却器

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「還流冷却器」の意味・わかりやすい解説

還流冷却器
かんりゅうれいきゃくき
reflux condenser

揮発性物質の蒸気を冷却して,もとの容器に戻すガラス製装置。揮発性溶媒を用いて行う加熱反応などに用いられ,溶媒の逃散を防ぐ。 (→化学実験器具 )

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世界大百科事典(旧版)内の還流冷却器の言及

【冷却器】より

…主としてガラス製であるが,銀,スズなどの金属を使うこともある。化学実験室では,主として蒸留の際に用い,また揮発性溶媒を用いて加熱抽出するとき溶媒の損失を防ぐための還流冷却器として用いられる。目的に応じ,効率をよくするため各種の型のものがあるが,図にそのおもなものを示す。…

※「還流冷却器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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