鶴亭(読み)かくてい

朝日日本歴史人物事典 「鶴亭」の解説

鶴亭

没年天明5.12.24(1786.1.23)
生年:享保7(1722)
江戸中期の南蘋派の画僧。名は浄博,のち浄光。字は恵達,のち海眼。鶴亭,如是,五字庵,南窓翁などと号した。長崎の黄檗宗聖福寺の僧。熊斐から沈南蘋画法を学び,かたわら黄檗絵画の影響も受けて独自の画体を創始。柔軟な線描と平面的に施された鮮明な着色特色とする。20歳代半ば,故あって還俗し大坂へ移住。画家として生活し始めたが,黄檗僧としての戒範は守っていたという。京坂の黄檗僧,南画家たちと交流。画の弟子に葛蛇玉がいる。安永6(1777)年,宇治の万福寺紫雲院の住持となり,数年後退き,諸国遍歴ののち,江戸で没した。作品に「牡丹綬帯鳥図」(神戸市立博物館蔵)など。

(武田光一)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鶴亭」の意味・わかりやすい解説

鶴亭
かくてい

[生]?
[没]天明5(1785).江戸
江戸時代中期の長崎派画家。法諱は浄博,のち浄光,字は恵達 (えたつ) ,のち海眼。如是,五字庵などの別号もある。長崎の聖福寺4代目岳宗の法嗣。初め同寺の僧,のち宇治の黄檗山紫雲院に住した。幼時より絵を好み,熊斐 (ゆうひ) に師事。花鳥画,蘭,竹の水墨画を得意とする。大坂へ出て京坂地方に沈南蘋 (しんなんぴん) の画風を広め,さらに江戸へ行き,下谷池の端で没した。主要作品『牡丹小禽図』。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鶴亭」の解説

鶴亭(1) かくてい

?-? 江戸時代後期の陶工
文化のころ京都大徳寺門前に窯をきずき,楽焼をはじめる。一時中断したが,弘化(こうか)元年大徳寺常楽庵に再建。のち玉林院の末寺,大坂の般若寺にも窯をきずいた。

鶴亭(2) かくてい

海眼浄光(かいげん-じょうこう)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の鶴亭の言及

【黄檗美術】より

…隠元より早く来日し,隠元を日本に招くのに貢献した逸然は観音像を手がけ,万福寺15代住持の大鵬正鯤(たいほうせいこん)(1691‐1774)の墨竹はなかでもすぐれている。長崎出身の僧鶴亭(?‐1785)はこうした墨戯を上方画壇にひろめる役割を果たした。黄檗像の墨戯に見る自由な画境は,かれらが中国からもたらした元明画や画論書などと相まって,南画の発生と展開に少なからず貢献した。…

【長崎派】より

…(3)南蘋(なんぴん)派は,1731年(享保16)に渡来した沈銓(しんせん)(南蘋)にはじまる。精緻な花鳥画の画風は南蘋に直接師事した熊代熊斐(ゆうひ)(1693‐1772)の門下の鶴亭(?‐1785),宋紫石(1716‐80)により近畿や関東に伝わり,江戸後期の画壇に写実主義の風潮がひろまる契機となった。(4)南宗画(文人画)派も伊孚九(いふきゆう),費漢源,江稼圃(こうかほ)らの来日中国画人に負うところが多い。…

※「鶴亭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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