てこそ(読み)テコソ

デジタル大辞泉 「てこそ」の意味・読み・例文・類語

て‐こそ

[連語]接続助詞「て」+係助詞「こそ」》
文中に用いて「て」の受ける部分を強調する。文語文では「こそ」のかかっていく述語を已然形で結ぶ。「義務を遂行してこそ権利を主張できる」「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」
「げにあぢきなき世に、心のゆくわざをし―、過ぐし侍りなまほしけれ」〈少女
文末に用いて、打消しの意を表す。…はずがない。中世から近世にかけての用法
「めざすも知らぬ松陰に、何やら暗うて見え―」〈浄・今宮の心中

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「てこそ」の意味・読み・例文・類語

て‐こそ

(接続助詞「て」に係助詞「こそ」の付いたもの)
① 文中にあって、「て」の受ける用言と下の用言との関係を強める。
土左(935頃)承平四年一二月二七日「をしと思ふ人やとまるとあしがものうちむれてこそ我は来にけれ」
徒然草(1331頃)一六七「人にまされりと思へる人は、たとひ言葉に出でてこそ言はねども、内心にそこばくのとがあり」
② 文末にあって打消の意を表わす。中世以降の用法。
※中華若木詩抄(1520頃)下「これを聞ては、こらへられてこそ」
人情本・春色雪の梅(1838‐42頃か)三「オホホホ。気味が悪いか何だか知れてこそよ」

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