とぞ(読み)トゾ

デジタル大辞泉 「とぞ」の意味・読み・例文・類語

と‐ぞ

[連語]格助詞」+係助詞」。古くは「とそ」とも》
文中に用いて、「と」の受ける叙述を強調する意を表す。
「人もとぶらひつきぬれば、又はとふべき人もなし―、心のうちにおぼゆる」〈かげろふ・中〉
文末に用いて、一般にいわれている、または伝聞したことである意を表す。…ということだ。
女院御所など借り申す、故実なり―」〈徒然・一五六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「とぞ」の意味・読み・例文・類語

と‐ぞ

(格助詞「と」に係助詞「ぞ」の付いたもの。古くは「とそ」とも。→係助詞「ぞ」)
① (文中に用いて) 叙述を強調して、文末と呼応する。
万葉(8C後)三・四四二「世の中は空しきものとあらむ登曾(トソ)この照る月は満ち欠けしける」
今昔(1120頃か)五「比丘、不思懸ぬ財(たから)を得て、本の所に還(かへ)りにけりとぞ語り伝へたるとや」
② (文末にあって) 一般的な解説または伝聞の意を表わす。…というわけである。…ということである。
※万葉(8C後)一七・四〇〇四「立山にふり置ける雪の常夏に消ずて渡るは神ながら等曾(トソ)
源氏(1001‐14頃)帚木「つれなき人よりは、中々あはれにおぼさるとぞ」

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