コミカンソウ(読み)こみかんそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コミカンソウ」の意味・わかりやすい解説

コミカンソウ
こみかんそう / 小蜜柑草
[学] Phyllanthus lepidocarpus Sieb. et Zucc.
Phyllanthus urinaria L.

トウダイグサ科(APG分類:コミカンソウ科)の一年草。茎は直立して分枝し、高さ10~40センチメートル、紅赤色。葉は小形で長楕円(ちょうだえん)形、先は円く、ほとんど無柄。小枝は扁平(へんぺい)で狭い翼があり、葉を2列に互生して羽状葉にみえる。雌雄同株。7~10月、葉腋(ようえき)に赤褐色の小花を単生する。雄花萼片(がくへん)6枚、雄しべ3本。蒴果(さくか)は扁球形で隆起する横じわがあり、径2.5ミリメートル。無柄で赤褐色を帯び、熟すと3裂して種子をはじき出す。本州、四国、九州の畑地に生え、朝鮮半島のほか、広く熱帯亜熱帯に分布する。名のコミカンソウや別名キツネノチャブクロは、ともにミカンに似た小形の果実の形状による。近縁のヒメミカンソウP. ussuriensis Rupr. et Maxim.(P. matsumurae Hayata)は、花は黄緑色、雄花は萼片4枚、雄しべは2本、果実は有柄で平滑であるなどの点でコミカンソウと異なる。

[小林純子 2020年6月23日]

 APG分類ではアカギカンコノキ、コミカンソウなどはトウダイグサ科からコミカンソウ科(ミカンソウ科)Phyllanthaceaeとして独立した。

[編集部 2020年6月23日]

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改訂新版 世界大百科事典 「コミカンソウ」の意味・わかりやすい解説

コミカンソウ (小蜜柑草)
Phyllanthus urinaria L.

暖地の畑地や路傍に普通にみられる,トウダイグサ科の小型の一年草。多数の小さな葉が短枝の両側に互生し,複葉のように見え,葉腋(ようえき)に花が生じてはじめて単葉であることがわかる。属の学名Phyllanthusは,〈葉に花が咲く〉を意味し,また漢名の葉下珠も葉に果実がつくように見えることによる。花期は7~10月。花は赤褐色で非常に小さく,果実は平たい球形でやはり赤褐色。和名は果実の形を小型のミカンにみなしたもの。中国では解毒剤として用いる。畑地雑草として,世界中の熱帯から暖温帯にかけて広く分布し,日本では関東地方以西に生育する。同属のコバンノキP.flexuosus Muell.Arg.は,本州の近畿地方以西,四国,九州の山地に生える落葉低木で,小判の形をした葉が短枝に互生し,秋には1枚の複葉のように短枝ごとに脱落する。
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