ヤムチャ(読み)やむちゃ

改訂新版 世界大百科事典 「ヤムチャ」の意味・わかりやすい解説

ヤムチャ (飲茶)
yem ca

中国で,茶を飲み点心(てんじん)を食べることをいう。ヤムチャの発音は広東語であるが,この習慣は広東だけでなく北京,蘇州,杭州などにもある。点心としては包子パオズ),ギョーザシューマイ,春巻,糕(米の餅),餅(焼餅など),めん(麵)類,飯類,米粉(ビーフン)などがある。甘いものは甜点,塩味のものは鹹点といい,種類は1000以上にも及ぶ。日本式のお茶うけにあたるものにラッカセイ,瓜子(スイカカボチャの種),甘栗,干果物や蜜漬の果物などがあるが,これは小食という。点心は軽食であり,小食はおつまみといえる。飲茶の専門店は茶楼,茶居,茶室の三つに分けられるが,一般的には茶館と呼ぶ。茶楼は規模が大きく比較的高級であり,茶居,茶室は規模がやや小さく大衆向きである。日本でも近年,中国料理店とは別に中国茶や点心の普及と相まって飲茶の専門店があらわれている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤムチャ」の意味・わかりやすい解説

ヤムチャ
やむちゃ / 飲茶

中国において、正餐(せいさん)の間にとる軽い食事。中国の古い時代の食生活は、1日に正餐は午前11時過ぎからと、午後7時30分以後の二度の吃飯(チーファン)であった。これだけでは食生活のうえから不十分なので、これに加えて二~三度の補食、すなわち吃点心(チーティエンシン)がされるようになった。中国料理の名著の一つ、袁枚(えんばい)の『随園食単(ずいえんしょくたん)』(1792)には「梁(りょう)の昭明太子は点心をもって小食となす」と記されており、中国南部の広東(カントン)地方において、お茶を飲みながらこのような軽食をとる習わしが広く行われた。これが飲茶(ヤムチャ)(広東語)である。近時、朝食、昼食時の手軽な点心類を主としたワゴンサービスによる食事がヤムチャとして知られるようになった。

[野村万千代]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のヤムチャの言及

【点心】より

…点心は解釈の多いことばであるが,間食,非時の食,小食とするのが最も適当である。飲茶(ヤムチヤ)は全部点心である。点心という字は,宋代の《能改斎漫録》に初めて出るが,この本には唐代にすでにあったと記されている。…

※「ヤムチャ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android