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ラッカセイ

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栄養・生化学辞典の解説

ラッカセイ

 [Arachis hypogaea].ピーナッツ,ナンキンマメともいう.マメ目マメ科ラッカセイ属の一年草ラッカセイの種子.煎って食用にしたり,潰して諸種の料理に使う.

出典|朝倉書店
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ラッカセイ
らっかせい / 落花生
peanut
[学]Arachis hypogea L.

マメ科の一年草。別名ナンキンマメ。英名ピーナッツ。南アメリカ原産で、世界中の熱帯から寒冷地を除く温帯に広く栽培される。茎は基部から枝分れして、枝は地面をはって伸び、長さ1~1.5メートルになる。主茎は直立するが分枝より短い。葉は2対の4小葉からなる複葉で、暗いときは対(つい)の小葉があわさって閉じ、光が当たると開く睡眠運動をする。花は葉腋(ようえき)につき、黄色の直径1センチメートルほどの蝶形花(ちょうけいか)。夏の早朝に咲き、昼にはしぼむ。自家受精し、開花後5日後ころから子房と花托(かたく)との間(子房柄)が伸びて地中に潜り込み、先端の子房が地表下数センチメートルのところで肥大して莢(さや)となる。この性質から落花生の名がつけられた。また茎の基部の地中にある部分に地下花がつき、これらは閉花のまま自家受精して結実することがある。莢の表面は網状の凹凸のある多肉質で、ここで養分を吸収することができ、熟すると乾燥して堅い莢殻(きょうかく)となる。莢は長さ2~5センチメートルで、内部に普通は2個、品種によっては1~5個の種子(豆)がある。種子は長さ約2センチメートル(品種によっては1センチメートル未満)で、紅褐色や橙黄(とうこう)色の薄い種皮(甘皮)に包まれ、子葉は乳白色である。[星川清親]

起源と伝播

南アメリカ、ボリビア南部のアンデスの東の山麓(さんろく)地域が起源で、この地域にはその野生型が自生している。またボリビアには変異が豊富で、もっとも利用方法も進んでいる。さらにペルー、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチンを含む各地域で第二次中心地が形成され、種々な品種が育成された。その年代は不詳であるが、南アメリカの最古の発掘物はペルーのリマの近郊の遺跡から紀元前850年ころのものが出土しており、メキシコのテワン谷から前200年ころのものが出土している。したがって紀元前にメキシコまで伝播(でんぱ)していたことは確実である。新大陸発見時(1492)までに、南アメリカの全地域、西インド諸島およびメキシコに伝播した。16世紀にポルトガル人によってブラジルから西アフリカに、さらにアフリカを経てインドに入り、インド洋諸島各地に伝播した。同じころ、スペインに入り、南ヨーロッパに伝播した。またペルーから直接中国に伝播した。北アメリカには原産地からではなく、むしろアフリカから16世紀ころ入った。日本には、17世紀末に中国から入ったが当時は普及せず、明治初年の再導入後、1907年(明治40)ころから作物として普及し始めた。[田中正武]

品種・栽培

ラッカセイの品種は、分枝の茂り方(立性か匍匐(ほふく)性か)、種子の大小その他によりスペイン型、バレンシア型、バージニア型、サウスイーストランナー型の4型に分けられる。日本ではおもに大粒で分枝の多いバージニア型が栽培されている。ラッカセイは温暖な気候とやや乾燥した土地によく生育する。日本では千葉、茨城、栃木、宮崎などの諸県が主産地で、収穫量は約2万3000トン(2001)である。関東地方では5月に種播(ま)きし、10月末の霜の降りるころに茎ごと引き抜いて収穫し、動力脱莢機で莢をとる。栽培の北限は青森県であるが、東北地方では生産は少ない。世界的には3565万トン(2003)の生産で、豆類としてはダイズに次ぐ生産量で、アジアで世界中の約67%を産する。主生産国は中国、インド、アメリカなどであるが、アフリカでは多くの国々で主作物として栽培され、また南ヨーロッパ諸国も収量が高い。[星川清親]

利用

ラッカセイの組成は、100グラム中タンパク質25グラム、脂質47グラム、糖質16グラム、無機質ではカリウムの含量が比較的高く、ビタミンはB1、B2のほか、とりわけナイアシン含量が多く、栄養的に優れた食品である。一般に炒(い)って食べるが、殻付きのまま炒るものと、殻を除いた豆を炒るものとがある。間食用としては殻付きのほうが価格が高く、品質のよいものが用いられ、豆炒りのほうは、塩味をつけたり、バターピーナッツとして間食のほかビールのつまみ、また中国料理では油で揚げたりしてよく用いられる。大粒種に比して小粒種は食味が劣るので、おもに搾油原料とされるが、食用としてはすりつぶして塩味をつけ、よく練ってピーナッツバターとし、また煎餅(せんべい)、マコロンなど製菓材料にされ、豆腐やみその原料にもなっている。豆を冷却下で圧搾して得られる落花生油(ゆ)は、オレイン酸40~60%を含む弱不乾性油で、香りがよく、てんぷら油やフライ油にされ、またサラダ油、ショートニング、マーガリン原料などにもされている。搾油原料の小粒種は年間数万トンが輸入されている。なお大粒種の需要は国産でほぼまかなわれている。
 このほか、ラッカセイは未熟のうちに収穫してダイズの枝豆のように塩ゆでにして食べる。茎葉は緑肥や青刈り飼料とされる。
 なお、ラッカセイは、アレルギー物質を含み症状の重篤度が高い食品であるため、食品衛生法施行規則で「特定原材料」に指定されており、当食品を含む加工食品については、2002年(平成14)4月からその表示が義務化されている。[星川清親]

文化史

ラッカセイ属の野生種は南米に限定され、ラッカセイのほかにブラジルの先住民はナンビクアレA. nambiquarae HoehneやウィルスリカルパA. villosulicarpa Hoehneを栽培する。ラッカセイの原種は北アルゼンチン、パラグアイ、ブラジル西部およびボリビアに分布するモンティコラA. monticola Krapovikhas et Rigoniが有力で、ラッカセイと同じ一年生の四倍体がボリビアから発見されている。スペイン人は、食糧としてラッカセイを船に積み込みフィリピン人に伝え、中南米の呼び名マンが現在もフィリピンに残る。17世紀アフリカからの奴隷船でも食糧にされた。西アフリカでは同じく地下結実性のバンバラビーンが栽培されていたため、定着が容易であった。日本には元禄(げんろく)(1688~1704)までに渡来したとみられ、貝原好古(かいばらこうこ)は『和爾雅(わじが)』(1688)で漢書を引いて落花生(らっかせい)の名をあげる。一方、『菜譜(さいふ)』(1704)では眉児豆に「なんきんまめ」をあてるが、これは紫花などの記述からフジマメと考えられる。『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)では長崎に多く植えと述べられ、『増補地錦抄(ちきんしょう)』(1710)では砂地に植え、土中に結実するなど適確に描写されており、そのころ広がったとみられる。『桃源遺事』は徳川光圀(みつくに)が水戸に導入したと記録する。沖縄ではジマミ(地豆)とよばれ、豆腐をつくり、台湾や中国では塩ゆでを朝食のおかずに添える。[湯浅浩史]

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