ルバート(読み)るばーと(英語表記)rubato イタリア語

デジタル大辞泉 「ルバート」の意味・読み・例文・類語

ルバート(〈イタリア〉rubato)

テンポルバート

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ルバート」の意味・読み・例文・類語

ルバート

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルバート」の意味・わかりやすい解説

ルバート
るばーと
rubato イタリア語

西洋音楽で用いる演奏記号一種テンポ・ルバートtempo rubatoの略で、その語源は「盗む」を意味するイタリア語ルバーレrubareにある。具体的には、音符の長さを長くしたり短くしたりすることを意味し、一つの楽句のなかでテンポあるいはリズムをいくぶん自由に演奏するよう指示する。ただし、音価に自由が与えられるのは部分的であって、けっして楽曲全体の基礎テンポは変化させてはならない。また、ルバートの技法が用いられるのは旋律に限られ、伴奏ピアノ音楽では左手部分)は厳格にテンポを保守することになっている。すなわち、ルバートでは、厳格な基礎テンポに対するずれによって緊張感がもたらされ、そこに豊かな旋律的表現力が生み出されることとなる。

 歴史的には、ルバートはすでに17世紀の鍵盤(けんばん)音楽で用いられている。18世紀以降より頻繁に用いられるようになるが、その使用はすべて演奏者の自由に任されていた。作曲者自身から指示されるようになるのは、19世紀のショパンまで待たなければならない。彼のピアノ曲、マズルカ第一番嬰(えい)ヘ短調(1830)がその最初といわれている。

[黒坂俊昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルバート」の意味・わかりやすい解説

ルバート
rubato

音楽用語。イタリア語の rubare (盗む) に由来し,テンポ・ルバート tempo rubatoは音楽の演奏にあたって,微妙に時価を伸縮すること。特に旋律の表出力を高めるために行われる。ショパンのピアノ音楽に典型的な例がみられるほか,ジャズや流行歌の演奏ではきわめて一般的である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ルバート」の意味・わかりやすい解説

ルバート

テンポ・ルバート

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のルバートの言及

【テンポ・ルバート】より

…〈盗まれたテンポ〉の意。単に〈ルバート〉ともいう。音楽の表出力を高めるために,演奏に際してテンポを変化させること。…

※「ルバート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android