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イタリア語 イタリアごItalian language

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イタリア語
イタリアご
Italian language

イタリアの国語として約 5000万人以上のイタリア人に話されているほか,スイスの一部やフランスのコルシカ島でも話されている言語。インド=ヨーロッパ語族のイタリック語派に属し,スペイン語ポルトガル語フランス語ルーマニア語などと並んでロマンス語派の一つ。すなわち,これらの言語と同様に,ラテン語が土着の言語の影響を受けつつ変化をとげてできあがったものである。最初の記録は,10世紀の裁判記録中の証言にみられる。古くから多くの方言に分れていたが,13世紀にダンテペトラルカボッカチオの三大文豪が輩出してトスカナ方言がイタリア文語の基礎となった。現在では6つの方言に大別され,公用語はそのうちのトスカナ方言に基づくものであるが,他方言からの借用もかなりある。

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百科事典マイペディアの解説

イタリア語【イタリアご】

インド・ヨーロッパ語族のイタリック語派に属するロマンス語の一つ。13世紀シチリアに発達した文学の中心が次第に北部のフィレンツェ地方に移ったことにより,この地のトスカナ方言がダンテ,ペトラルカ,ボッカッチョによる洗練を経て現代(標準)イタリア語の成立をみた。
→関連項目イタリア

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世界大百科事典 第2版の解説

イタリアご【イタリア語 Italian】

ロマンス語に属する言語。その源は古代ローマ人の用いたラテン語にさかのぼる。
[分布と方言]
 イタリア語はイタリア共和国(人口5744万)の公用語であり,またサンマリノ共和国,バチカン市国,スイスのティチノ州,コルシカ島,ユーゴスラビアイストラ半島およびダルマツィア地方の一部でも話されている。このほか南・北アメリカ,オーストラリアなどに渡った移民の間でも受け継がれている。なお,サルデーニャ島に残るサルデーニャ語はイタリア語方言の一つとしてではなく,ロマンス語に属する別個の言語として扱われる。

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大辞林 第三版の解説

イタリアご【イタリア語】

インド-ヨーロッパ語族のイタリック語派に属する言語の一。イタリアのほかスイスの一部およびコルシカ島でも話される。現在のイタリア語は、一九世紀にトスカーナ方言を標準語として成立。

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世界の主要言語がわかる事典の解説

イタリアご【イタリア語】

インドヨーロッパ語族イタリック語派に属する、ロマンス諸語の一つ。イタリアの公用語で、サンマリノ、バチカン市国、スイスの一部、コルシカ島などでも話される。話者数は6000万人。古代ローマ人のラテン語を祖語とする。ローマ帝国の崩壊後、イタリア半島の民衆のラテン語がさまざまな方言に変化、分化した。このうち中部イタリアのトスカナ地方の方言が、13~14世紀、ダンテ、ペトラルカ、ボッカッチョらの出現によって洗練された文学語へと高められ、19世紀のイタリア統一後、標準的なイタリア語として全土に広がった。一方で今も各地に多くの方言が残る。文法の面ではラテン語から、名詞や形容詞の格変化の消失、冠詞の誕生、助動詞の形成、条件法の発達など多くの変化をみた。一方、語彙(ごい)や語形などにはラテン語の面影をとどめている。母音の体系が日本語に近く、日本人に発音しやすい言語でもある。◇伊語ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イタリア語
いたりあご

西ヨーロッパ南部、地中海に突き出たイタリア半島、シチリア島、サルデーニャ島、およびスイス南部ルガノ地方、それに現在フランス領のコルシカ島、クロアチアのイストリア地方などで話されている言語。使用人口は約6000万である。[西本晃二]

特徴

動詞の変化(人称・数・時制・法)が複雑で、これによってきめ細かい表現を行う。名詞・形容詞には男女・単複の変化がある(格変化はない)。語形の変化がはっきりしているので、普通、主語代名詞は用いられず、語順も比較的自由である。音声的には、母音が日本語のアイウエオでほぼまにあう、開音節が多いなどの理由で、西ヨーロッパの言語のうちで日本語からもっとも入りやすい。[西本晃二]

歴史

イタリア語はネオ(新)ラテン語あるいはロマンス語とよばれる言語の一つである。すなわち、かつてイタリアの地に興り、地中海域全体に広がる広大な版図を占めた古代ローマ帝国が5世紀末に崩壊し、その後新しいヨーロッパの秩序が成立する西暦1000年ごろまでの間に、現在の西ヨーロッパ地中海沿岸地域に発生した言語の一つである。これらの言語には、大まかにいって西からポルトガル、スペイン、フランス、イタリア、それに遠く東に、古代ローマ植民地のことばであるルーマニアの五つの言語がある。いずれもラテン語を母体とし、それに地方地方の先住民や、あとから侵入してきた民族のことばが入り混じって、ついに互いに独立の言語とみなしうる特色を備えるに至った。
 イタリア語は、ルーマニア語とともにロマンス諸語のなかでは東のグループに属しており、その特徴は名詞の数変化にとくに明らかである。すなわち西のグループ(フランス、スペイン、ポルトガル語など)では、名詞の複数形を表すのに、祖語であるラテン語の対格(直接目的格)複数形を採用し、単数形の語尾に(s)を加えて複数形とする。これに対し東のグループでは、ラテン語名詞の主格複数形をとり、語末の母音が変化して複数形をつくる(un libro→due libri, una casa→due case)。
 イタリア語がいつごろ祖語のラテン語から分離したかを決めることはとうていできない。しかし、書かれた形で残っているイタリア語資料の最古のものとしては、9世紀初めに「ベローナの謎(なぞ)うた」とよばれ、ラテン語の祈祷書(きとうしょ)の余白に、写字生によって書き残された2行ばかりの、あまり意味のはっきりしない落書き(したがってイタリア語かどうかも明白ではない)、および960年にモンテ・カッシーノ修道院所有地に関する、これも全体はラテン語の訴訟記録中に引用されている無学な農夫と下級僧侶(そうりょ)の証言、の二つがある。後者は、十分にラテン語を書く能力を有する裁判所の書記が裁判進行の状況を正確に記録するため、証人として出廷した人物の発言をできるだけ忠実に音写したもので、ここに至って民衆の話しことばは、ラテン語の立場からすれば、どうみてもラテン語といえぬ崩れた様相を呈しており、それが同時にイタリア語側からすれば、祖語のラテン語から離れて、独立の言語として歩み始めた初期の姿を図らずも示しているということになる。
 960年という時期は、イタリア語と並んで有力なロマンス語の一つフランス語の初出文献「ストラスブールの宣誓」(842)に比べて1世紀あまりも遅れている。これは、古代ローマ帝国のなかではアルプスのかなたの辺境であり、かつ先住民族としてはケルト人、あとからの侵入者としてはフランク人がローマ帝国末期から定住していたガリア(フランス)と異なり、イタリアはローマ帝国の故地で、衰えたりとはいえ、中世全体を通じてラテン文化の息吹が完全に絶えたことは一度もなかったため、ラテン語の力が強く、分離に時間がかかったということであろう。むろんフランス語の842年、イタリア語の960年といい、書かれた資料の、それも現在知られている最古のものというだけのことで、実際に民衆の間ではもはやラテン語とはいえぬ、その地方独特のことばが用いられ始めたのは、さらに以前にさかのぼるであろうことは、容易に推察される。
 こうして西暦1000年前後に成立したイタリア語は、文化の表現手段としての成熟度においても、フランス語、とくに南フランスに発達したプロバンサル語に一歩遅れる。しかし、13世紀後半に至って文学的表現に耐えうる洗練さを備えた言語として登場してきたときには、他のヨーロッパ諸語のどれよりも早く、西欧文明を今日に至るまで特徴づけている市民文化の表現手段として目覚ましい活躍をすることになる。これには古代ローマの文化遺産、東西両地中海の接点とイスラム・キリスト両宗教圏の接点に位置するという地理的利点、東ローマ帝国との接触、海港に恵まれた地形などの要素が働いていることはいうまでもない。これらの要素がヨーロッパの他の地域に先駆けて、イタリアに市民文化の花を咲かせる都市国家の成立を可能にしたのである。そして、13世紀の終わりから14世紀にかけて、中部イタリア、とくにトスカナ地方でダンテ、ペトラルカ、ボッカチオの三大作家の出現をみて、トスカナ方言は標準語・文学語としての地位を確立し、以後今日までこの状況は実質的に変わっていない。したがって、現代イタリア語の知識を身につければ、あとは多少の古い形や言い回しに慣れれば、13世紀末あたりまでの文献を読むことができる。かようなことが可能なことばは、西欧の言語ではイタリア語以外にはない。けだし他の諸国では、中世から近代への転換が、15世紀末から16世紀におこっているからである。
 だが、一地方のことばが、このように国民全体のなかでは比較的少数の知識人や上流階級が用いる標準語となり、それが6世紀にもわたってほぼ同一の形を保ってきたというような状況、かつそれが交通や情報伝達の手段がいまだ発達しないころから、半島を縦断し、海岸近くまで張り出した山脈によって相互に独立した小地域に分かれる傾向の強い国土に、個人主義的気質をもつ人々の間に発生したということ、この二つの理由によって、イタリア各地に多数の方言をも発生させた。その相互間の違いはたいへん大きく、地域が異なれば話が通じないという場合が今日でもままある。また、方言独自の価値を主張し、方言で文学作品を書く作家も現れた。しかし、全体的にみれば、学校制度の改革、鉄道や高速道路など交通手段の発達、徴兵制度や官僚機構など全国的規模の統治方式の整備、そしてとくにラジオ、テレビに代表されるマス・メディアの普及によって、イタリア語における標準語と方言の問題は、20世紀に入って新しい段階を迎えたといえる。[西本晃二]

外国語への影響

14世紀から16世紀にわたる、いわゆるルネサンスの時代に、イタリア語は人間活動のあらゆる分野で西ヨーロッパをリードした。文学では前記三大作家のほかにアリオストやタッソ、政治ではマキャベッリ、グイッチャルディーニ、ロレンツォ・デ・メディチ(イル・マニフィコ)、芸術のラファエッロ、ミケランジェロ、科学のガリレイ、トリチェリなどの名をみれば、このことが知られる。さらに、シェークスピアの作品の半分はイタリアを舞台にしている。また、18世紀に完成したオペラもイタリアを発祥の地としており、19世紀国民オペラ誕生までは、モーツァルトの作品にみられるように、イタリア人以外の作曲家の作品にもイタリア語が用いられた。音楽用語のほとんどがイタリア語であり、西欧文化に与えた影響は大きい。[西本晃二]
『B. Migliorini, I. Baldelli Breve storia della lingua italiana(1965, Sansoni, Firenze) ▽S. Battaglia, V. Pernicone Grammatica italiana(1964, Loescher, Torino) ▽西本晃二著『現代のイタリア語』(1978・三省堂) ▽坂本鉄男著『イタリア語の入門』(1974・白水社)』

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世界大百科事典内のイタリア語の言及

【イタリア】より

…正式名称=イタリア共和国Repubblica Italiana面積=30万1225km2人口(1996)=5746万0274人首都=ローマRoma(日本との時差=-8時間)主要言語=イタリア語通貨=リラLira長靴形に地中海に突出した半島を主体とする共和国。北はアルプスを境としてフランス,スイス,オーストリアに接し,東は地続きのユーゴスラビアとともにアドリア海を抱き,西はティレニア海に臨む。…

【イタリア文学】より

…このようなイタリアの文学空間を検討するためには,表現手段としての言語,作品の思想内容と詩学,表現者を取り巻く社会的状況,の少なくとも3点からの吟味が必要になるであろう。
[俗語詩の登場]
 日常生活全般においてラテン語が文章語として使われているさなかで,会話語すなわち俗語としてのイタリア語が文献に現れはじめるのは,13世紀に入ってからである。まとまったものとしては,まず,アッシジの聖者フランチェスコの《被創造物の歌》(1225)があった。…

【ベンボ】より

…イタリアの文学者,詩人。古典文学やイタリア語の文学に精通していた父の勧めで人文主義の研究に励み,従来,ほとんど古典文学作品に限られていたテキストの文献学的研究をイタリア語の作品に応用して,ペトラルカの《カンツォニエーレ》とダンテの《神曲》を出版した。次いで,旧来の愛の概念に検討を加えたうえで,愛とは神聖かつ理想的な美について思索を深めるよう人を誘うものだと定義した《アーゾロの人々》(1505)を刊行した。…

【ロマンス語】より


[分類・分布]
 ロマンス語の分類に関してはさまざまな試みがなされているが,19世紀末に死滅したダルマティア語(かつてアドリア海東岸に分布)を今日使用されているロマンス語に加えたうえで,次のような分類が考えられる(配列順序はヨーロッパにおける分布をおおよそ西から東にたどったもの)。(1)ポルトガル語,(2)スペイン語,(3)カタロニア語(カタルニャ語,カタラン語とも),(4)オック語(オクシタン(語)とも),(5)フランコ・プロバンス語Franco‐Provençal,(6)フランス語,(7)レト・ロマン語(レト・ロマンス語とも),(8)サルジニア語(サルデーニャ語とも),(9)イタリア語,(10)ダルマティア語Dalmatian,(11)ルーマニア語。これらの〈言語〉はいずれもいくつかの地域的な変種(方言)を含んでいるが,(1)(2)(3)(6)(9)(11)のように超局地的な共通語(標準語)の確立している言語と,そのような標準語をもたない(4)(5)(7)(8)(10)のような言語とがある。…

※「イタリア語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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