影帯(読み)えいたい(英語表記)shadow band

改訂新版 世界大百科事典 「影帯」の意味・わかりやすい解説

影帯 (えいたい)
shadow band

シャドーバンドともいう。太陽が月に完全に隠される皆既日食のとき,太陽光球が隠される(第2接触)直前および再び太陽光球が現れる(第3接触)直後の数分間,地上を流れる明暗縞模様模様波長は数cmから約1m,模様の長さは数十cmから約1mであり,きれぎれになった弧状をなして一方向に流れていく。流れる速さは秒速約10m程度である。明暗の模様は,暗い部分の幅が狭く,明るい部分の幅の数分の1である。この現象は,皆既になる直前および皆既が終わった直後に,わずかに残った弧状の太陽光が屈折率が一様でない地上の空気層を通るため生ずると考えられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「影帯」の意味・わかりやすい解説

影帯
えいたい
shadow band

皆既日食 (→皆既食 ) の食既直前および皆既終了直後,また金環食の場合には金環最中も,月の本影の進行方向に垂直な明暗の縞模様が地上を行進するのが見られる。この縞模様を影帯という。影帯は細長い欠け残りの部分からくる光の地球大気による不規則な屈折現象であり,星のまたたきと同じ現象である。縞は必ずしも規則正しくはなく,不連続的に動き回る場合が多い。

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百科事典マイペディア 「影帯」の意味・わかりやすい解説

影帯【えいたい】

シャドーバンドとも。皆既日食時,太陽の光球が完全に隠される直前および再び現れた直後の数分間,地上を流れる明暗の縞模様。模様の長さは数十cmから約1m,暗い部分の幅は明るい部分の幅の数分の1で,一方向に流れていく。

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普及版 字通 「影帯」の読み・字形・画数・意味

【影帯】えいたい

光でうつし出される。

字通「影」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の影帯の言及

【日食】より

…1~2分前には,あたりが静寂になり,気温も下がり肌寒くなる(図3)。空には明るい星が見え始め,地面には,影帯(シャドーバンド)と呼ぶ縞模様の流れが現れる。やがて太陽は月の谷間だけから光がもれて数珠のように見える。…

※「影帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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