心掛・心懸(読み)こころがける

精選版 日本国語大辞典 「心掛・心懸」の意味・読み・例文・類語

こころ‐が・ける【心掛・心懸】

〘他カ下一〙 こころが・く 〘他カ下二〙
① 常に心に留める。忘れずに思う。心に掛ける。
※右京大夫集(13C前)「うらやましみと見る人のいかばかりなべてあふひをこころかくらむ」
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉三「一年に十万両ぐらいなお易を上納してへもんだとこころがけてゐるのだヨ」
② 心の準備をする。たしなむ。心得る。
※中華若木詩抄(1520頃)下「かなわぬまでも、合戦を、こころかけて、九夷八蛮に至るまで、切りなびかすべきと思ふべきことなるに」
③ 心をそちらに集中する。めがける。ねらう。目的とする。学問芸道などを究めようとする。
※玉塵抄(1563)五「これからしてはたけさえんなど心がけてひっこうでいもほりしてすぎうと云に学圃とかくぞ」
都会憂鬱(1923)〈佐藤春夫〉「当時私はゾラなどのやうなものを心掛けてゐたので」

こころ‐がけ【心掛・心懸】

〘名〙
① 心がけること。気を配ること。心の用意。心構え
※さるばとるむんぢ(1598)「同其下人きりしたんならば御おきての旨を保つ様に心懸をなしたりや否やと糺すべし」
草枕(1906)〈夏目漱石〉一「王維淵明境界を今の世に布教して広げやうと云ふ心掛も何もない」
② たしなみ。心得。
※虎寛本狂言・文山立(室町末‐近世初)「書記いて、跡で配分をせうと思ふて矢立を用意した。夫は能心掛じゃ」
浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)四「さすが武士妻女のはてとて、心がけの長刀かいとりとび出るを」

こころ‐がかり【心掛・心懸】

〘名〙 (形動) 不安が心を離れないこと。気がかりであること。また、そのさま。心配。こだわり。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浮世草子・日本永代蔵(1688)二「いつの年よりおそき事を何とやら心がかりに思ひしに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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