性格劇(読み)セイカクゲキ

デジタル大辞泉 「性格劇」の意味・読み・例文・類語

せいかく‐げき【性格劇】

主人公の特異な性格を強調し、それが引き起こす事件中心に展開する劇。

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精選版 日本国語大辞典 「性格劇」の意味・読み・例文・類語

せいかく‐げき【性格劇】

〘名〙 ある人物の性格や内面的な特性を重視し、それによって展開される劇的事件を表現する戯曲シェークスピアの「ハムレット」、モリエールの「守銭奴」などはその代表的な例。
青年(1910‐11)〈森鴎外〉二〇「運命劇境遇劇が性格劇になったと云ふのは」

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改訂新版 世界大百科事典 「性格劇」の意味・わかりやすい解説

性格劇 (せいかくげき)

登場人物の性格がプロットの展開の動因となっている劇。劇には,人物がおかれている状況や人物間の関係がプロットのあり方を規定しているものがあるが,これに対して,登場人物,とりわけ主人公の性格がプロットを規定していると考えられるものが性格劇である。したがって,こういう性格はある程度の特異さや存在感をもった力強いものでなければならない。ある人物の行動はすべて,性格が現実に直面したときにとる表現として説明される。もちろん,性格のあり方は行動を通してうかがい知るほかないのであるから,両者の関係は相互依存的ではあるが,近代的な人間観においては人間の性格はひとつの実体としてとらえられるため,行動は性格に従属すると考えられる。イプセンの作品を典型とする近代リアリズム劇は,この意味で性格劇であるといえる。これに対して,人間の個性を認めない不条理劇などには,性格劇という概念は当てはまらない。
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