我が・吾が(読み)わが

精選版 日本国語大辞典 「我が・吾が」の意味・読み・例文・類語

わ‐が【我が・吾が】

[1] 〘連語〙 (代名詞「わ」に助詞「が」の付いたもの。現代語では「わ」の独立用法がなく、また、「わが」の場合に「が」の主格用法がないので、一語とみて「連体詞」とする)
[一] 助詞「が」が主格を示す用法である場合。私が。自分が。→我(わ)
[二] 助詞「が」が連体格を示す用法である場合。
① 自分が所有していたり、深い関係にあったりする物事を自分の立場から指示する時に用いる。私の。
書紀(720)崇神八年四月・歌謡「この御酒(みき)は 和餓(ワガ)御酒ならず」
※土左(935頃)承平五年二月七日「とくと思ふ船なやますはわがために水の心の浅きなりけり」
② 「君」「兄(せ)」「妹」など、人を表わす語の上に付いて、その人を親しんで呼ぶのに用いる。→わが君わが兄(せ・せな)わが兄子(せこ)わが妻
③ (反射指示) 自分の。その人自身の。
※竹取(9C末‐10C初)「たびの御すがたながらわが御いへへもより給はずして」
④ (目下の者に向かって) おまえの。
※浮世草子・世間娘容気(1717)三「我きはずみの仕様はどこにはやるぞ」
⑤ 下にくる名詞を省略した形で用いる。わがもの。私のもの。自分のもの。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「りうかく風をば娘のにす、ほそを風はわがにて」
[2] 〘代名〙 対称。きみ。おまえ。
※大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉一一「わがのやうな若僧に頼まんかて俺達は困る事あらへんぞ」
[補注](1)→「あが(我━)」の語誌。
(2)中古以降、代名詞「わ」は、複合語をつくることも、他の助詞を伴うこともなくなり、もっぱら「わが」の形で用いられる。この「わが」は主語を表示する少数の用法のほか、ほとんどが連体修飾語として用いられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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