擬化石(読み)ギカセキ(英語表記)pseudofossil

デジタル大辞泉 「擬化石」の意味・読み・例文・類語

ぎ‐かせき【擬化石】

生物に由来しないが、一見化石にみえるもの。忍ぶ石菊花石など。偽化石

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精選版 日本国語大辞典 「擬化石」の意味・読み・例文・類語

ぎ‐かせき ‥クヮセキ【擬化石】

〘名〙 岩石中に産する特異な形のもので、化石かどうか疑わしいもののうち、化石でないと判明したものをいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「擬化石」の意味・わかりやすい解説

擬化石 (ぎかせき)
pseudofossil

成因が生物と無関係であるが,ある種の化石に似た形態,構造,模様を示すものをいう。偽化石とも書く。たとえば日本でもよく知られているしのぶ石は,岩石の割れ目に浸透した水分に含まれている鉄分やマンガン質がしみこんでできた模様で,シダ類の葉に似た形を示すのでこの名があるが,植物化石ではない。ドイツではこの模様を活用して,商品名ゾルンホーフェン石の名で装飾用石材として販売されている。また亀甲石と呼ばれるものは,特定の形をした節理にもとづく表面の模様が亀の甲に似ている泥灰岩マール)などである場合が多い。菊花石と呼ばれる奇石の一種には,形が菊の花に似ており,なんらかの化石の断面を想像させるものがあるが,これはアラゴナイト(アラレ石)という鉱物が放射状に集合したもので化石とは無関係である。また化石とはまったく関係がなく,擬化石とも言えないもので,広い意味で化石の言葉を使っているものに,波の化石(漣痕(れんこん)),雨の化石(雨痕),雷の化石(雷管石),地震の化石(砂岩岩脈)などがある。
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世界大百科事典(旧版)内の擬化石の言及

【化石】より

…さらに,岩石中に含まれる生物起源の有機化石物などは化学化石と呼ばれる分子レベルの化石である。そのほか,擬化石と呼ばれるものがある。地層の生成過程やその後の熱・圧力・地下水などによる続成作用によって,古生物とはかかわりなく化石のような見かけの形態を生じたもので,字義どおり化石ではない。…

※「擬化石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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