デジタル大辞泉
「真土山」の意味・読み・例文・類語
まつち‐やま【真土山/待乳山】
奈良県五條市と和歌山県橋本市との境にある山。吉野川(紀ノ川)北岸にある。[歌枕]
東京都台東区浅草にある小丘。隅田川西岸に位置し、聖天宮がある。
[枕]同音の「待つ」にかかる。
「―待つらむ妹を」〈万・三一五四〉
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真土山
まつちやま
紀ノ川右岸に突出した小山で、山頂は奈良県五條市。待乳山とも書く。北側の真土峠を大和街道が通り、古代からの交通の要所であった。「万葉集」に信土山・又打山・亦打山などと記され、国境の山としての感慨を歌ったものが多い。
<資料は省略されています>
巻九の「木方往君我信土山」の表記を「我信土山」と誤読し、のち歌学書が我信土山を紀伊の名所としてあげることも生じた。なお神亀元年(七二四)の聖武天皇玉津島行幸の従駕の人に贈った笠金村の歌に、
<資料は省略されています>
とあり、真土峠付近か現伊都郡かつらぎ町背山付近に奈良時代まで紀ノ関があったことも考えられる。紀ノ関も名所として歌に詠まれることが多かった。
中世には真土峠の周辺に阿弥号をもつ念仏聖などが止宿し、五條市畑田町の西福寺には延徳二年(一四九〇)の六斎念仏供養碑など中世の石塔石碑が数多く残る。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報