蓮華(読み)れんげ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

蓮華
れんげ

ハスの花。種類は多いが,宗教,文芸上では次の5種が代表的である。 (1) パドマ padma 紅蓮華 (ぐれんげ) と訳される。昼に咲く。ヒンドゥー教ではビシュヌ神とその妃ラクシュミー (吉祥天) の象徴。 (2) プンダリーカ puṇḍarīka 白蓮華 (びゃくれんげ) ともいい,ヒマラヤの後方にあってインドを潤すという架空の池に咲くとされる。 (3) ウトパラ utpala 紅,青,黛などの各種の色がある睡蓮のこと。 (4) クムダ kumuda 色は一定しない。樟脳ともいう。 (5) ニーロートパラ nīlotpala 青いウトパラ。青蓮華。以上は植物学的に厳密に分類されたものではない。仏教では特にパドマとプンダリーカとが重要である。蓮華はインドで一般にめでたい花とされ,泥沼から生じるが,しかも濁りに染まらず清く美しく咲くことから,仏教思想の象徴的意義を託されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

蓮華
れんげ

(はす)の花。仏典では、ウトパラutpala(優鉢羅華(うはつらけ)、青(しょう)蓮華)、パドマpadma(波頭摩華(はずまけ)、紅(ぐ)蓮華)、プンダリーカpurka(分陀利華(ふんだりけ)、白(びゃく)蓮華)、クムダkumuda(拘物頭華(くもつずけ)、黄(おう)蓮華)を列挙するが、ウトパラは睡蓮(すいれん)で、パドマとプンダリーカが一般に用いられる蓮華である。インドのビシュヌViu神話では、ビシュヌのへその中から生じた蓮華の中にブラフマー(梵天(ぼんてん))がいて万物を創造したという。「泥中(でいちゅう)の蓮華」というように、汚い泥に染まらず清らかで美しい蓮華は、仏典では清浄な姿を仏などに例える。仏・菩薩(ぼさつ)の座る蓮華の台を蓮台(れんだい)、蓮華座(れんげざ)という。『妙法蓮華経』は「白蓮華のように優れた教えを説く経」という意で経題に用いられている。『華厳(けごん)経』では、毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)の世界を蓮華蔵(れんげぞう)世界とよび、仏の住むこの世界を蓮華に例える。阿弥陀(あみだ)の浄土の蓮華の中に往生(おうじょう)することを蓮華化生(れんげけしょう)といい、密教では胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)の中心に、八弁の蓮華の葉の上に、大日如来(だいにちにょらい)を中央に四仏・四菩薩を周りに配したものを中台八葉院(ちゅうだいはちよういん)とよび、いずれも仏の大悲を表す。煩悩(ぼんのう)の汚れがなく、純粋無垢(むく)で清浄な状態を、仏身や、悟りの世界、浄土などと象徴的なものとして表現した。[石上善應]

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