福岡貢(読み)ふくおか・みつぎ

朝日日本歴史人物事典 「福岡貢」の解説

福岡貢

江戸時代の歌舞伎伊勢音頭恋寝刃」の主人公寛政8(1796)年5月4日,伊勢古市遊廓の妓楼油屋で,宇治山田の医者孫福斎 が,仲居万のほか数名を斬殺し,自身もふつか後に自刃するという事件があった。この事件が芝居に仕組まれた際,孫福斎が福岡貢に改められたのである。同年7月25日初日の大坂角の芝居で上演された。歌舞伎では福岡貢は,名刀青江下坂詮議のために伊勢に来ている阿波家老の息子,今田万次郎の手助けをするが,仲居の万野に辱められたのと,折角手に入れた刀をすり替えられたとの思い違いから,次々と人を斬り殺す。際物ではあったが人気があり,今日なおよく上演される。

(佐谷眞木人)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「福岡貢」の解説

福岡貢 ふくおか-みつぎ

歌舞伎「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」の主人公。
寛政8年(1796)伊勢(三重県)古市の遊廓油屋でおこった騒動題材にしている。貢は伊勢の御師(おんし)で,主家筋の若殿のために名刀青江下坂(あおえしもさか)をとりもどすが,遊女お紺の心にもない仕打ちを真にうけ,逆上して十人斬りをする。

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