家庭医学館 の解説
せきついかりえすけっかくせいせきついえん【脊椎カリエス(結核性脊椎炎) Tuberculous Spondylitis】
脊椎に結核菌が感染することによっておこる脊椎炎です。
最近は、結核性脊椎炎と呼ばれ、骨の関節の結核では、もっとも多くみられるものです。
たいていの場合、肺など、他の臓器にある結核病巣から、結核菌が血液に流れ込んで、脊椎に感染がおよんだものです。
しかし、感染源がはっきりわからない場合もあります。
[症状]
この病気は、胸椎(きょうつい)や腰椎(ようつい)に多くみられます。
結核そのものによる貧血、疲れやすい、だるいといった全身症状がおこります。そのほかに、感染した部分を押したり、たたいたりすると痛みます(圧痛、叩打痛(こうだつう))。
また、脊椎の周囲の筋肉がかたくなって、脊椎の運動が十分にできなくなります。
病気が進行すると、感染した部分だけが突出して、角状後弯(つのじょうこうわん)(亀背(きはい))になります。
膿(うみ)が、脊椎の周囲だけでなく、筋肉に沿って流れ、背中や鼠径部(そけいぶ)(太もものつけ根)などに膿瘍(のうよう)や瘻孔(ろうこう)を形成することもあります。
また、脊髄神経(せきずいしんけい)が入っている脊柱管(せきちゅうかん)に膿がたまり、その膿によって下肢(かし)にまひがおこることもあります。
ツベルクリン反応は、陽性になります。X線検査では、椎間板(ついかんばん)が狭くなって、椎体(ついたい)が破壊されているのが見られます。
[治療]
保存的治療が基本となります。ギプスベッドやコルセットなどを用いて局所の安静を保ちます。それと同時に、栄養の補給を行ないながら、抗結核薬による薬物療法を行ないます。
下肢にまひがおこった場合は、できるだけ早く手術を行なったほうがよいでしょう。