日本大百科全書(ニッポニカ) 「谷内六郎」の意味・わかりやすい解説
谷内六郎
たにうちろくろう
(1921―1981)
画家。東京に生まれ、まだ田園的風景の残っていた世田谷(せたがや)で病弱な幼少期を送る。高等小学校を卒業後、年少労働者として働きつつ漫画・カットなどを新聞・雑誌に投稿。1955年(昭和30)文芸春秋漫画賞を受け、翌1956年2月の創刊号より『週刊新潮』の表紙絵を描いて叙情画家としての地位を確立した。童画調の画風のうちに人間幼少期の源泉的な感情をとらえて、見る者を郷愁に誘う。『谷内六郎画集』(1955)、『遠い日のうた』(1966)、『旅の絵本』(1967)などの作品集がある。叙情画家の谷内こうた(1947―2019)は甥(おい)。
[上笙一郎]
『新潮社出版部編『谷内六郎の世界――愛・郷愁・抒情の画家』(1981・新潮社)』▽『『谷内六郎展覧会』四冊・別一冊(新潮文庫)』▽『横尾忠則編『谷内六郎の絵本歳時記』(新潮文庫)』