金東里(読み)きんとうり(英語表記)Kim Tong-ni

改訂新版 世界大百科事典 「金東里」の意味・わかりやすい解説

金東里 (きんとうり)
Kim Tong-ni
生没年:1913-95

韓国作家。本名始鍾。慶尚北道慶州出身。儆新高等普通学校中退。1935年《花郎の後裔》,36年《山火》により登壇。続いて《巫女図》(1936)をはじめ《岩》《黄土記》など土俗的シャマニズム説話,伝説の世界を描く。解放後は左翼文学団体に対抗して朝鮮青年文学家協会結成,純粋文学擁護の論陣を張る。《穴居部族》《人間動議》《興南撤収》などにより社会的現実へ文学的世界を拡大する一方,《巫女図》《山火》の改作,同系列の《駅馬》《乙火》などを発表して土着の理念的世界への接近を深めた。芸術院会員,中央大学芸術学部長。《金東里代表作選集》がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金東里」の意味・わかりやすい解説

金東里
きんとうり / キムドンニ
(1913―1995)

韓国(大韓民国)の作家。慶尚北道(けいしょうほくどう/キョンサンプクド)慶州(けいしゅう/キョンジュ)出身。儆新(けいしん)高等普通学校中退。デビュー作『巫女図(ふじょず)』(1936)、『岩』(1936)のときから、土俗的な世界を素材に、人間の運命的なものを描き出していくのが本領の作家で、そこから、解放後は左翼文学と対立、政治に隷属せぬ「純粋文学」の主唱者・実践者となった。以後文壇の中心人物として1970年韓国文人協会の理事長、72年ソラボル芸術大学学長、81年芸術院会長などを歴任した。代表作に『黄土記』(1937)、『駅馬』(1948)、『サヴァンの十字架』(1955~56)、『等身仏』(1961)、『かささぎの声』(1973)など。

田中 明]

『金素雲訳『サヴァンの十字架』(『現代韓国文学選集2』所収・1976・冬樹社)』

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百科事典マイペディア 「金東里」の意味・わかりやすい解説

金東里【きんとうり】

韓国の作家。本名始鍾。慶尚北道慶州生れ。《花郎の後裔》(1935年),《山火》(1936年),《巫女図》(1936年)をはじめ,解放後は《穴居部族》《人間動議》《興南撤収》《駅馬》《乙火》などを著す。解放後,朝鮮青年文学家協会を結成,芸術院会員,中央大学芸術学部長。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金東里」の意味・わかりやすい解説

金東里
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