日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイソザイム」の意味・わかりやすい解説
アイソザイム
あいそざいむ
isozyme
構造は異なっていても、同じ反応を触媒する酵素。一つの生物のなかで同じ生体反応を触媒しているのに、器官や細胞によって酵素の性質が少しずつ違うことがある。これは、それぞれの器官などの置かれている環境や役割にもっともふさわしい酵素が働くように、似てはいるが少しずつ性質の違う酵素を生物がつくるからである。このような関係にある酵素をアイソザイム(イソ酵素)とよぶ。アイソとは「同じ」という意味である。なお、病気の診断にアイソザイムの分析が利用されることもある。たとえば、血液中のGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)値が高くなった場合、アイソザイム型を調べると、肝臓の疾患によるものか、心臓の疾患によるものかを判定できる。
[笠井献一]