アイソザイム(読み)あいそざいむ(英語表記)isozyme

翻訳|isozyme

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイソザイム」の意味・わかりやすい解説

アイソザイム
あいそざいむ
isozyme

構造は異なっていても、同じ反応を触媒する酵素。一つの生物なかで同じ生体反応を触媒しているのに、器官細胞によって酵素の性質が少しずつ違うことがある。これは、それぞれの器官などの置かれている環境や役割にもっともふさわしい酵素が働くように、似てはいるが少しずつ性質の違う酵素を生物がつくるからである。このような関係にある酵素をアイソザイムイソ酵素)とよぶ。アイソとは「同じ」という意味である。なお、病気の診断にアイソザイムの分析が利用されることもある。たとえば、血液中のGOTグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)値が高くなった場合、アイソザイム型を調べると、肝臓疾患によるものか、心臓の疾患によるものかを判定できる。

[笠井献一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイソザイム」の意味・わかりやすい解説

アイソザイム
isozyme

イソチーム,アイソエンザイム isoenzyme,イソ酵素ともいう。同位酵素のこと。従来は均一の成分と考えられていた酵素は,蛋白分画技術の進歩によって,いくつかの成分に分離されることがわかってきた。そこで,酵素としての働きは同じでも,電気泳動法などの分離方法によって分類すると,分子構造物理・化学的性質などの異なる一群の酵素をアイソザイムと名づけた。たとえば血清中の乳酸脱水素酵素 (LDH) は5種類のアイソザイムに分けられ,病気によって組織細胞に含まれるアイソザイムの種類が異なるため,どのアイソザイムが高値になっているかを調べれば,異常のある臓器が推定できる。

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