アカモノ(読み)あかもの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカモノ」の意味・わかりやすい解説

アカモノ
あかもの / 赤物
[学] Gaultheria adenothrix Maxim.

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑小低木。イワハゼともいう。高さ10~30センチメートルで、枝はよく分かれ、開出した赤褐色の長毛を密生する。葉は互生し、卵形、長さ1~3センチメートル、革質でつやがあり、裏面には剛毛がまばらにつき、縁に細かい鋸歯(きょし)がある。6月ごろ、枝の上部葉腋(ようえき)から赤褐色の毛を密生した長い柄を出し、その先に長さ6~7ミリメートルの鐘形をした白色花が1個下向きに開く。花冠の先は浅く5裂して反り返り、淡紅色を帯びる。萼(がく)は5裂して赤褐色の毛があり、雄しべは10本ある。萼は花期後に肥大して多肉質となり、蒴果(さくか)を包み、液果状の仮果になり、上を向く。8~10月に赤く熟し、甘味があり食べられる。

 低山または高山草地に生え、北海道、本州の日本海側に多く分布し、四国の別子(べっし)銅山付近にもある。鉢植えなどにして観賞する。和名アカモノは、仮果を赤桃に見立てたアカモモからなまったものであろうという。

小林義雄 2021年4月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカモノ」の意味・わかりやすい解説

アカモノ
Gaultheria adenothrix

ツツジ科の小低木。イワハゼともいう。九州を除く日本各地の高山帯に生じる。いわゆる高山植物であるが,西日本ではかなり低山帯の林下にもみられる。高さ 10~30cmで枝には赤褐色の毛があり,葉は硬い革質で濃緑色,長さ2~3cmの卵形で縁に細かい鋸歯がある。初夏に,淡いピンクの小さな鐘形の花を1花ずつ長い柄の先につけて下向きに咲く。果実は赤く熟するが乾いた 蒴果であるためコケモモ属とは違って食用にはならない。

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