改訂新版 世界大百科事典 「アグリパイ」の意味・わかりやすい解説
アグリパイ
Gregorio Aglipay y Labayan
生没年:1860-1940
フィリピン独立教会の初代大司教。ルソン島北イロコス州に生まれ,ビーガン神学校に学んだ後,1889年12月にカトリック教会の司祭に叙階された。98年9月にフィリピン革命政府のマロロス議会に参加し,翌10月には革命軍宗務総長に任命され,カトリック教会内におけるフィリピン人司祭の権利を主張し,教会組織の民族化をうながす宣言を出した。1901年4月に米軍により逮捕されるまで,フィリピン人司祭を動員することにより民族革命の達成に努めた。02年8月にイサベロ・デ・ロス・レイエスらがローマ教皇の権威を否定したフィリピン独立教会を創立し,アグリパイは03年1月に初代の大司教に就任した。その後は独立教会の指導にあたる一方で反米民族主義を基調とする政治運動に参加し,35年9月には第1回コモンウェルス政府大統領選挙に出馬したが敗れた。
執筆者:寺田 勇文
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報