アシハラガニ(読み)あしはらがに(英語表記)marsh crab

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アシハラガニ」の意味・わかりやすい解説

アシハラガニ
あしはらがに / 葦原蟹
marsh crab
[学] Helice tridens

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目イワガニ科に属するカニ青森県以南、沖縄、朝鮮半島台湾に分布する日本近海の固有種。河口の湿地帯にすみ、アシ原にとくに多い。甲幅3.5センチメートルほどの四角形で、体に厚みがある。眼窩(がんか)外歯の後方に大きな歯が二つ、痕跡(こんせき)的な歯が一つある。眼窩下縁に沿って雄では16~18個、雌では三十数個の顆粒(かりゅう)が1列に並び、はさみ脚(あし)の長節にある稜(りょう)でこすって発音する。体は暗青緑色で、甲の前側縁と、はさみは黄色を帯びている。この属には日本、朝鮮半島、中国北部、台湾から8種が知られ、主として発音器官の違いで区別される。南日本にはヒメアシハラガニH. wuanaがみられ、沖縄にはリーチアシハラガニH. leachiiが多い。

[武田正倫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アシハラガニ」の意味・わかりやすい解説

アシハラガニ
Helice tridens; marsh crab

軟甲綱十脚目モクズガニ科。甲は幅 3.5cmほどの四角形。眼窩の下縁に雄は 16~18個,雌は 32~34個の顆粒が並び,これを鋏脚の稜とすり合わせて音を出す。青森県から沖縄県,台湾,中国沿岸までの河口の湿地帯にすみ,特に草原に多い。南日本では小型種ニホンアシハラガニ Helicana japonica も普通に見られる。従来ヒメアシハラガニ Helice wuanaHelicana wuana)と呼ばれていた種は中国南部と台湾産である。(→甲殻類十脚類節足動物軟甲類

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