アピス(読み)あぴす(英語表記)Apis

翻訳|Apis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アピス」の意味・わかりやすい解説

アピス
あぴす
Apis

古代エジプトの牛神。エジプトでは多くの動物神が崇拝されたが、アピスはとりわけメンフィスで厚く尊崇された聖牛で、ここには地下にそれら聖牛の墓室が造営された。これらの聖牛はオシリス神と結合してセラピスとよばれ、その墓室はセラペイオン(セラペーウム)として知られていた。メンフィスのセラペイオンは、1851年にフランスのエジプト学者A・D・マリエットによって発掘された。なおセラペイオンは、プトレマイオス朝(前305~前30)期にアレクサンドリアにも建てられ、学術殿堂として知られたが、389年に破壊された。

矢島文夫


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アピス」の意味・わかりやすい解説

アピス
Apis

エジプト神話の雄牛の神性。ハピ Hapiのギリシア語化。エジプトの他の雄牛の神性と同様に,もともと多産豊穣の神で,鳥獣繁殖に関係していたが,のちプターやオシリスと結びつくようになった。またこの牛の動きの一つ一つが,未来の前兆として解釈された。全エジプトで広く信仰され,特にメンフィスで飼育され崇拝された。毎年1度,ナイルが増水しはじめる頃に盛大な誕生の祭典が行われたが,25年以上生きたものは僧侶により溺死させられ,セラピスの神殿に埋められた。真黒で額に方形の白い部分と,背中にわしの形の標と甲虫のような瘤がある牛が神牛とされる。

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