日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカクロクマ」の意味・わかりやすい解説
アメリカクロクマ
あめりかくろくま
American black bear
black bear
[学] Euarctos americanus
哺乳(ほにゅう)綱食肉目クマ科の動物。アメリカグマともよばれる。東アジアのツキノワグマ(アジアクロクマ)に対してアメリカクロクマというが、別属別種である。北アメリカのアラスカからロッキー山脈沿いにメキシコまで、またメキシコ湾沿いにも分布する。頭胴長1.8メートル、体重200キログラムに達する。毛は普通黒、前胸に白斑(はくはん)の出るものもある。雑食性で、樹木の果実、草本など植物質のものがおもであるが、サケなど魚類も食べる。また、トウモロコシなどの作物を荒らすことがある。木登りが巧みなほか、ニホンツキノワグマと同様、ダグラスモミ(トガサワラ)などの植栽木の樹皮をはぐ習性がある。イエローストーンなどアメリカの国立公園で、訪問者の前に現れるのはこのクマである。怒らせたりしなければ人間に害を加えることはないが力が強いので注意が必要である。
[渡辺弘之]