改訂新版 世界大百科事典 「アラゴー」の意味・わかりやすい解説
アラゴー
Dominique François Jean Arago
生没年:1786-1853
フランスの物理学者,天文学者。光学,電磁気学,天文学の発展に寄与し,政治家としても活躍した。エスタジェルの生れ。1805年経度局に入り,J.B.ビオとともに子午線測量のためスペインに派遣されたが,反乱にあいスパイ容疑で投獄され,09年に放免された。同年G.モンジュの後任として母校エコール・ポリテクニクの教授となり,30年にはパリ天文台長に就任した。光学の分野では波動説を支持し,A.J.フレネルとともに結晶による複屈折で生ずる偏光に関する実験から光の波動説を実証し(1816),回転鏡による光速度の直接測定を提唱した(1838)。電磁気学では,電流による鉄の磁化の実験(1820)および有名なアラゴーの回転板と呼ばれる渦電流の現象を発見した(1824)。共和制の支持者であり,30年の七月革命を契機として政治の世界に入り,52年まで下院議員を務め,科学教育,発明の振興をはかった。また1848年の二月革命の際には仮政府の陸・海軍大臣となったが,最後まで学界に貢献し若い研究者を指導した。
執筆者:登谷 美穂子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報