磁界(磁場)の中で導体を動かしたり、変化する磁界の中に導体を置いたとき、導体に発生する渦状の電流。フーコー電流ともいう。磁石の磁極の間で金属板を動かすと、金属板に渦電流が流れる。図で四辺形ABCDの部分は磁界が金属板を貫く部分である。金属板が動いて磁界の外から磁界の中に入ると、その部分には新たに磁束が貫くことになる。そこで、電磁誘導の法則に従って、この磁束の増加を打ち消すように渦電流が流れる。金属板が磁界の中から外へ出るときにも同様なことがおこる。磁界が渦電流に及ぼす力は、金属板の運動を妨げる向きに働くので、この原理は制動器として利用される。金属板を動かすかわりに磁界の強さを時間的に変化させると、磁界ABCDを囲むように渦電流が流れる。この渦電流の熱作用(ジュール熱)のために、金属板は発熱する。変圧器の鉄芯(しん)の断面ではこのような現象がおこって、変圧器の効率を非常に悪くするため、変圧器の電芯は薄い鉄板を電気的に絶縁して重ね合わせ、渦電流が流れないようにしてある。渦電流の積極的な利用例として金属工業における金属加熱機がある。電磁調理器も渦電流による発熱現象を応用したものである。
に示すように[山口重雄]
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電気伝導体に対して,それを貫く磁力線が相対的に運動するとき,導体の中に生ずる渦状の電流。1824年D.F.J.アラゴーが,回転する円板の上の磁針が振れる現象(アラゴーの回転板と呼ばれている)を発見したのが初めで,この現象はその後M.ファラデーが発見した電磁誘導の法則によって説明された。渦電流によって,強い磁場中で回転する電気伝導体の円板が強い制動力を受けることをJ.B.L.フーコーが実験で示した(1855)ことからフーコー電流とも呼ばれ,この現象は交流の積算電力計や電磁ブレーキなどに利用されている。一般に渦電流によって生ずるジュール熱は電力の損失となり,これを渦電流損失(または渦電流損)という。交流発電機,交流電動機,変圧器などの鉄心は,渦電流損失をさけるため,お互いに絶縁した薄い磁性鋼板を重ねて作ってある。渦電流損失の実測値は鉄心が一様に磁化されると仮定した計算より大きく,これを渦電流異常というが,これは強磁性体中の磁壁の場所に渦電流が集中しているためであることがわかっている。なお,渦電流によるジュール熱を利用した加熱法に誘導加熱がある。
執筆者:近角 聡信
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