家庭医学館 「アレルギーの症例」の解説
あれるぎーのしょうれい【アレルギーの症例】
●6歳の女児。給食のソバを食べたところ、間もなくショック状態となり、死亡。
診断 アナフィラキシーショック。
●1歳の女児。乳製品を食べるたびに、じんま疹が出たため、乳製品はいっさい与えられていなかった。たまたま、よそにあずけられた際に、牛乳を飲まされ、ショックをおこした。
診断 アナフィラキシーショック。
■薬剤アレルギーの症例
●5歳の男児。感染の予防のためにペニシリンの筋肉注射を受けたところ、帰宅の途中に気分が悪くなり、そのままショック死(昭和20年代に画期的な抗生物質としてペニシリンの注射が一般的となったときにおこった)。
診断 ペニシリンによるアナフィラキシーショック。
●3歳の男児。かぜで抗生物質を服用したところ、間もなく全身にじんま疹が出現した。
診断 じんま疹。
■昆虫アレルギーの症例
●13歳の男子中学生。帰宅の途中でハチに刺され、気分不快、呼吸困難をきたし、自分で判断して、病院の救急外来を受診。
診断 ハチ毒のアナフィラキシーによる喉頭浮腫。
■アトピー性皮膚炎の症例
●6か月の男児。新生児期には目立たなかったが、生後2か月ころから口のまわり、くび、ひじなどに湿疹が出現。母親は、さわるといけないと信じていたため、まったく石けんを使わず、できるだけ入浴も避けていた。また、薬は恐いので、まったく使わずにいたところ、病気はますます悪くなり、顔は全体に赤く、皮膚の一部に裂け目ができた。母親は、食べ物が悪いと思いこみ、病院にかかれば、どの食品が悪さをしているか、すぐ教えてくれると思い、病院を受診した。医師から、汗などの刺激や、かゆくて自分で引っかくのがいちばん悪いので、毎日あまり熱すぎないおふろにいれ、ふつうの化粧石けんで、顔もからだもすみずみまできれいに洗うこと、薬をしっかり塗ることが基本であることを教えられ、そのとおり実行したところ、数日でみるみるよくなった。
診断 アトピー性皮膚炎。
注=アトピー性皮膚炎に食物が関与していることはまれです。特定の食物で、かならず皮膚炎が悪化するのでないかぎり、食物制限は必要ないと考えます。アトピー性皮膚炎では、かゆみ止めの内服、抗アレルギー薬の内服、そしてスキンケアと塗り薬の徹底的な使用がたいせつです。