アワガエリ(読み)あわがえり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アワガエリ」の意味・わかりやすい解説

アワガエリ
あわがえり / 粟還
[学] Phleum paniculatum Huds.

イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。全体に無毛で、稈(かん)は群がって直立し、高さ15~50センチメートル。5~6月に稈の先に円柱形の花序をつくり、密に小穂をつける。小穂は左右に扁平(へんぺい)、1小花をもち、包穎(ほうえい)は護穎(ごえい)より大きい。包穎は同形で内折し、背面の上端は突出する。和名は、穂の形がアワに似るのでアワから変わったものの意味。本州、四国、九州の平地草原に生え、中国、シベリア、ヨーロッパ、地中海沿岸に広く分布する。高山植物のミヤマアワガエリP. alpinum L.や牧草のチモシー(オオアワガエリ)も同属である。

[許 建 昌 2019年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アワガエリ」の意味・わかりやすい解説

アワガエリ(粟還り)
アワガエリ
Phleum paniculatum var. annuum; rough timothy

イネ科の一年草。地中海地方に分布する母種の1変種で,東アジア温帯に生じ,日本では北海道を除く各地原野にみられる。高さ 20~50cmほどで茎は直立し,細い披針形の葉を互生する。夏,細長い円柱形の花序をつける。同属のオオアワガエリ timothyは明治の初め牧草として輸入され,現在では各地に帰化している。

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