いとど
〘副〙 (
副詞「いと」の重なった「いといと」が変化したもの)
①
程度が更にはなはだしいさま。ますます。いよいよ。ひとしお。一段と。
※
古今(905‐914)雑下・九七一「年をへてすみこしさとをいでていなばいとど深草野とやなりなむ〈
在原業平〉」
② 事態がいっそうひどいことへの否定的な感情を表わす語。その上さらに(…のような事さえ加わり)。ただでさえ…なのにさらに。これ以上(…でありたくない)。
※大鏡(12C前)一「これは四十たりの子にて、いとど五月にさえむまれてむつかしきなり」
[語誌](1)「いといと」が一般に
形容詞や
形容動詞を修飾するのに対して、「いとど」は
動詞を修飾する機能を持つ。また「いとど」は中古の
和歌に
用例が多く見られ、雅語的な性格を有するが、「いといと」は和歌には用いられない。
(2)中世以降、「だに」「さへ」などの
添加を示す
助詞を伴なった
用法が見られるようになる。一方、独立した形容詞としての「いとどし」を派生した。
いとど
※俳諧・毛吹草(1638)二「
八月〈略〉いとと こうろぎ かまきり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「いとど」の意味・読み・例文・類語
いとど[副]
[副]《副詞「いと」の重なった「いといと」の音変化という》
1 程度が以前よりもはなはだしいさま。いっそう。いよいよ。
「夕されば―干がたきわが袖に秋の露さへ置き添はりつつ」〈古今・恋一〉
2 ただでさえ…なのにさらに。
「―鈍なやつめが茗荷を食ひ、いよいよ鈍になって」〈狂言記・鈍根草〉
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