いとど

精選版 日本国語大辞典 「いとど」の意味・読み・例文・類語

いとど

〘副〙 (副詞「いと」の重なった「いといと」が変化したもの)
程度が更にはなはだしいさま。ますます。いよいよ。ひとしお。一段と。
古今(905‐914)雑下・九七一「年をへてすみこしさとをいでていなばいとど深草野とやなりなむ〈在原業平〉」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「側(はた)から附智恵がございますから、いとどおしゃべりになります」
② 事態がいっそうひどいことへの否定的な感情を表わす語。その上さらに(…のような事さえ加わり)。ただでさえ…なのにさらに。これ以上(…でありたくない)。
※大鏡(12C前)一「これは四十たりの子にて、いとど五月にさえむまれてむつかしきなり」
[語誌](1)「いといと」が一般に形容詞形容動詞を修飾するのに対して、「いとど」は動詞を修飾する機能を持つ。また「いとど」は中古の和歌用例が多く見られ、雅語的な性格を有するが、「いといと」は和歌には用いられない。
(2)中世以降、「だに」「さへ」などの添加を示す助詞を伴なった用法が見られるようになる。一方、独立した形容詞としての「いとどし」を派生した。

いとど

〘名〙 昆虫かまどうま(竈馬)」の異名。《季・秋》
※俳諧・毛吹草(1638)二「八月〈略〉いとと こうろぎ かまきり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「いとど」の意味・読み・例文・類語

いとど[副]

[副]《副詞「いと」の重なった「いといと」の音変化という》
程度が以前よりもはなはだしいさま。いっそう。いよいよ。
「夕されば―がたきわが袖に秋の露さへ置き添はりつつ」〈古今・恋一〉
ただでさえ…なのにさらに。
「―鈍なやつめが茗荷めうがを食ひ、いよいよ鈍になって」〈狂言記鈍根草

いとど[名]

カマドウマ古名 秋》海士あまの屋は小海老こえびにまじる―かな/芭蕉

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